川村会計事務所|大阪・堺の税理士事務所

一人親方に税務調査が入る理由を解説!調査されやすいポイントと対策を紹介

一人親方として仕事をしていると、「自分のような個人事業主にも税務調査は入るのだろうか」「売上がそれほど多くなくても調査されるのだろうか」と不安に感じることがあるかもしれません。

税務調査は法人だけでなく、一人親方を含む個人事業主も対象になります。

特に、売上の計上漏れや経費の不自然な計上、帳簿と実際の取引内容の食い違いなどがあれば、申告内容を詳しく確認される可能性があります。

建設業の一人親方の場合、元請会社からの入金や材料費、車両費、外注費など、業務に関係するお金の動きが多くなりがちです。日頃から正確に記帳し、支出の根拠を説明できるようにしておくことが大切です。

この記事では、一人親方に税務調査が入る理由や調査で確認されやすいポイント、調査に備えて取り組みたい対策を具体的に解説します。

一人親方にも税務調査は入る?

一人親方も事業を営んでいれば当然税務調査の対象になります。その理由について説明します。

一人親方も個人事業主なので税務調査の対象になる

一人親方は、法人を設立せずに個人事業主として建設業などを営んでいるケースが一般的です。個人事業主であっても、所得税や消費税などの申告内容について税務調査を受けることがあります。

「事業規模が小さいから調査されない」「従業員を雇っていないから関係ない」と考えるのは適切ではありません。税務調査の対象になるかどうかは、売上高や従業員の有無だけで決まるものではないためです。

一方、確定申告をしている一人親方全員に税務調査が行われるわけでもありません。申告内容や取引状況などを踏まえて調査対象が選ばれます。

税務署は申告内容や取引情報などを確認している

税務署は、提出された確定申告書だけでなく、必要に応じて取引先などから得られる情報も確認します。

例えば、一人親方が元請会社から工事代金を受け取っている場合、元請会社側の帳簿や請求書などに記録された支払額と、本人の申告内容を照らし合わせることが考えられます。

また、前年と比べて売上や所得が大きく変動している場合なども、申告内容を確認するきっかけになり得ます。

ただし、売上の変動や経費率の高さだけで不正があると判断されるわけではありません。工事量の増減や材料価格の変化など、事業上の事情によって数字が変わることもあります。重要なのは、申告した金額について取引の実態に基づいて説明できることです。

AIが税務調査を容易にしている!?

AIの爆発的な浸透、高性能化は税務調査にも影響を及ぼしていると言われています。

法人、大企業、高額納税者中心のチェックだったものがAIによって個人事業主もチェックできる余力が生まれています。

実際の税務調査は国税専門官が行いますが、これまで詳細なチェックの余力がなかった(税務署の余力がない、コスパが合わない)個人事業主もそうはいかなくなっている可能性があります。

意図的な脱税は重大な犯罪ですが、そうでない申告漏れもこれまで以上にチェックされる可能性が高くなっているのです。

一人親方に税務調査が入る主な理由

税務調査が入るのは、所得税の納税額が怪しいからだけではなく、一定の確率で問題ない事業者も当たります。

可能性を下げるには、税務署のチェックに引っかからない正しい申告が重要になります。

売上の計上漏れや申告漏れが疑われる

一人親方の税務調査で確認される可能性があるのが、売上の計上漏れです。

例えば、元請会社から工事代金が振り込まれたものの、帳簿への記帳を忘れていた場合や、現金で受け取った代金を売上に含めていなかった場合などが該当します。

また、売上を計上する時期にも注意が必要です。所得税の計算では、原則として入金された日だけでなく、仕事の内容や契約条件に応じた収入の計上時期を判断します。年末に工事が完成し、翌年に入金された場合などは、どの年の売上に該当するのかを確認しなければなりません。

請求書を発行した金額と帳簿に記載した売上、実際の入金額を照合し、計上漏れがないか確認しておきましょう。

経費の金額や割合が不自然に見える

売上に対して経費が極端に多い場合や、前年までと比べて特定の経費が急増している場合には、その内容を確認される可能性があります。

例えば、売上が大きく減少しているにもかかわらず、接待交際費や車両費が増えている場合などです。

ただし、経費の割合が高いこと自体が問題なのではありません。大型の機械を購入した、材料費が高騰した、外注先を増やしたといった合理的な理由があれば、経費が増えることもあります。

大切なのは、事業に必要な支出であることを説明できるかどうかです。金額だけを見て経費を判断するのではなく、実際の仕事内容や取引内容と照らし合わせて確認する必要があります。

過去の申告内容と大きな違いがある

前年まで安定した売上があったのに急に所得が減少した場合や、特定の年だけ経費が大きく増加した場合など、過去の申告内容との違いが確認されることがあります。

もちろん、受注件数の減少や工事の中断、資材価格の上昇などによって所得が変動するのは珍しいことではありません。

しかし、数字の変化について説明できる資料がなければ、税務署から追加の確認を求められる可能性があります。

例えば、売上が減少した理由を説明するために、受注状況や取引先との契約内容を確認できる資料を残しておくとよいでしょう。

取引先などの調査から申告内容との不一致が見つかる

税務署は、納税者本人だけでなく、必要に応じて取引先などに対しても調査を行うことがあります。これを一般に「反面調査」といいます。

例えば、元請会社の帳簿には一人親方への支払額が年間500万円と記録されているのに、本人の申告した売上が400万円だった場合、金額の違いについて確認が行われる可能性があります。

ただし、差額があるからといって、直ちに売上の申告漏れになるわけではありません。立替金や材料費の精算、入金時期の違いなど、取引の内容によって金額が異なる場合もあります。

元請会社から受け取った支払明細や請求書、入金記録などを保管し、帳簿との関係を説明できるようにしておきましょう。

一人親方が税務調査で指摘されやすいポイント

税務調査に入られた場合、どのような項目を指摘されやすいのでしょうか?事前にチェックすることで追徴課税などのリスクを減らせます。

売上の計上時期と入金時期を説明できるか

建設業では、工事の完成や引き渡しから実際の入金までに時間がかかることがあります。

売掛金の支払いサイトが長いのは業種上仕方ありません。

そのため、入金された金額だけを基準に売上を記帳していると、売上の計上時期を誤る可能性があります。

売上は「発生主義」なので、請求書をしっかり保管してください。

請求書の発行日、工事の完成日、引き渡し日、入金日などを確認できるようにしておくと、売上の計上時期を説明しやすくなります。

車両費やガソリン代を過大に経費計上している

一人親方は、現場への移動や資材の運搬などで自動車を使用する機会が多く、ガソリン代や車検代、自動車保険料、修理費などを経費に計上することがあります。

ただし、仕事とプライベートの両方で使用している車については、事業で使用した分と私的に使用した分を按分しなければなりません。

例えば、仕事での使用割合が60%であれば、実際の使用状況を踏まえて60%を経費にするなど、合理的な基準で家事按分を行います。

単に「仕事でも使っているから全額経費にする」という処理は不適切、NGです。

走行距離や使用日数、現場への移動記録などを参考に、事業使用割合を説明できるようにしておきましょう。

飲食代や交際費に私的な支出が含まれている

元請会社の担当者や取引先との打ち合わせ、仕事上の関係者との会食など、事業に関係する飲食代は必要経費に該当する場合があります。

一方、家族や友人との食事など、個人的な支出を交際費として計上することはできません。

飲食代を経費にする場合は、領収書を保管するだけでなく、誰と何の目的で飲食したのかを記録しておくとよいでしょう。

例えば、領収書の裏面や会計ソフトのメモ欄に「○○建設の担当者と現場の工程について打ち合わせ」と記録しておけば、支出の目的を説明しやすくなります。

外注費の実態や支払内容が不明確になっている

現場作業の一部を別の職人や事業者に依頼している場合、支払った金額を外注費として処理することがあります。

このとき、誰に何の作業を依頼し、いくら支払ったのかが明確になっていないと、税務調査で確認を求められる可能性があります。

また、契約書に「業務委託」と記載していても、実際の働き方によっては給与に該当するかどうかが問題になる場合があります。契約書の名称だけで判断するのではなく、仕事の指示や時間管理、報酬の決め方など、実態に基づいて区分することが大切です。

外注費を計上する場合は、契約書や発注書、請求書、振込記録などを保管し、依頼した業務の内容を説明できるようにしておきましょう。

一人親方が税務調査に備えて行っておきたい対策

一人親方が税務調査に対してどのような事前準備ができるのか、すべきなのか紹介します。

日々の売上と経費を正確に記帳する

税務調査への備えとして、まず取り組みたいのが日々の記帳です。

確定申告の直前に1年分の取引をまとめて処理すると、売上の計上漏れや経費の記録間違いが発生しやすくなります。請求書や通帳、領収書などを確認しながら、取引が発生した時点で記帳する習慣をつけましょう。

特に一人親方の場合は、元請会社ごとに売上や入金を管理すると、請求額と入金額の照合がしやすくなります。

会計ソフトを活用すれば、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで、記帳作業を効率化することもできます。

領収書や請求書などの証拠書類を保存する

帳簿だけでなく、取引の内容を確認できる書類も適切に保存しましょう。

具体的には、次のような資料が挙げられます。

  • 元請会社との契約書や注文書
  • 工事代金の請求書や支払明細
  • 材料費や工具購入時の領収書
  • ガソリン代や車両関連費のレシート
  • 外注先への発注書や請求書
  • 銀行口座やクレジットカードの利用明細

個人事業主の帳簿や書類には、種類に応じた保存期間が定められています。青色申告の場合、主要な帳簿などは原則7年間の保存が必要です。書類の種類によって保存期間が異なるため、まとめて整理しておくと安心です。

また、メールやウェブサイトからPDF形式で受け取った請求書などは、電子取引データとして保存する必要があります。印刷した紙だけを残せばよいわけではないので、電子データも適切に保管しましょう。

家事按分や経費計上の根拠を説明できるようにする

車両費や通信費、自宅兼事務所の水道光熱費など、仕事と私生活の両方に関係する支出は、事業で使用した部分を区分して経費に計上します。

このとき、毎年同じ割合を使っているからという理由だけで按分割合を決めるのではなく、実際の使用状況に基づいて判断することが重要です。

例えば、自動車であれば仕事での走行距離や使用日数、自宅兼事務所であれば仕事に使用している面積や時間などを参考にできます。

按分割合を決めた理由や計算方法を記録しておけば、税務調査で質問された際にも説明しやすくなります。

申告内容に誤りがあれば早めに見直す

確定申告を提出した後に売上の計上漏れや経費の誤りに気付いた場合は、放置せずに対応を検討しましょう。

本来納める税金が少なかった場合には、修正申告を行います。一方、税金を納め過ぎていた場合には、一定の要件のもとで更正の請求を行うことができます。

税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、原則として過少申告加算税はかかりません。ただし、延滞税などが発生する場合はあります。

申告内容の誤りに気付いたときは、早めに帳簿や資料を確認し、必要に応じて税理士に相談しましょう。

一人親方が税務調査を受けることになった場合の対応

実際に政務調査が来るとなった場合、何をすればよいのでしょうか?

税務署から連絡があったら内容を確認する

税務調査の実施に当たっては、原則として事前通知が行われます。通知を受けたら、調査の対象となる税目や期間、調査の目的、準備する帳簿書類などを確認しましょう。

仕事の都合などで指定された日程に対応できない場合は、税務署に連絡して日程変更を相談することもできます。

ただし、事前通知が行われない調査もあります。連絡があった場合は、慌てずに内容を確認し、必要な資料を整理することが大切です。

質問には事実に基づいて回答する

税務調査では、売上や経費の内容、取引先との関係、帳簿の記載方法などについて質問されることがあります。

質問された内容が分からない場合は、無理に推測して答える必要はありません。帳簿や請求書などを確認したうえで、後日でも構いませんので正確に回答しましょう。

また、調査に備えて帳簿を書き換えたり、実際とは異なる説明をしたりすることは避けなければなりません。事実関係を整理し、必要な資料を提示することが基本です。

指摘内容に納得できない場合は根拠を確認する

税務調査の結果、経費の一部が認められないなどの指摘を受ける場合があります。

その際は、どの取引が問題とされているのか、なぜ経費として認められないのか、金額がどのように計算されているのかを確認しましょう。

調査担当者から修正申告を勧められた場合でも、内容を十分に理解しないまま判断する必要はありません。指摘の根拠や税額への影響を確認し、必要であれば税理士に相談することをおすすめします。

税務調査では、納税者側の説明や資料も踏まえて事実関係が判断されます。取引の実態を示す資料がある場合は、きちんと提示しましょう。

一人親方の税務調査に関するよくある質問

一人親方は売上が少なくても税務調査を受けますか?

はい。売上が少ない一人親方であっても、税務調査の対象になる可能性はあります。税務調査の対象は売上高だけで決まるわけではなく、申告内容や取引状況などを踏まえて選定されます。事業規模にかかわらず、正確な記帳と資料の保存を心がけましょう。

税務調査では何年分の帳簿を確認されますか?

税務調査では、一般的に過去数年分の申告内容や帳簿書類が確認されます。税務署が更正・決定できる期間は原則として法定申告期限から5年間ですが、偽りその他不正の行為がある場合は7年間となります。

帳簿や書類の保存期間は書類の種類や申告方法によって異なります。調査対象となる可能性も考え、法令で定められた期間は適切に保存しておきましょう。

領収書を紛失した場合はどうすればよいですか?

領収書を紛失した場合は、まず購入先に再発行や購入履歴の確認ができないか相談しましょう。また、銀行の振込明細やクレジットカードの利用明細、請求書など、支出の事実を確認できる資料も探します。

ただし、支払いの記録だけでは購入内容や事業との関係を十分に説明できない場合もあります。支出の内容や目的を整理し、確認できる資料をできるだけ残しておくことが大切です。

税務調査で経費が否認されたらどうなりますか?

必要経費として認められない支出があると、その分だけ所得が増加し、所得税や住民税などの負担が増える可能性があります。申告内容の誤りによって追加の税金が発生した場合は、過少申告加算税や延滞税などが課されることもあります。

ただし、指摘された経費が必ず否認されるとは限りません。事業との関連性や支出の実態を示す資料を提示し、指摘の根拠を確認することが重要です。

まとめ

一人親方も個人事業主として税務調査の対象になります。売上の計上漏れや経費の過大計上、帳簿と取引内容の不一致などがあれば、申告内容について詳しい確認を受ける可能性があります。

特に建設業の一人親方は、元請会社からの入金や材料費、車両費、外注費など、確認しておきたい取引が多くあります。日頃から売上と経費を正確に記帳し、請求書や領収書などの証拠書類を保存しておきましょう。

また、家事按分や外注費のように判断が難しい項目については、計上した理由や根拠を説明できるようにしておくことが大切です。

税務調査への備えは、調査が決まってから始めるものではありません。日々の帳簿管理や確定申告の段階から適切な処理を行うことで、税務上のリスクを抑えやすくなります。申告内容に不安がある場合や税務署から調査の連絡を受けた場合は、税理士への相談も検討しましょう。

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