建設業の経費一覧!経費にできるもの・できないものを税理士が解説
建設業では、材料費や外注費、車両費、工具代など、さまざまな経費が発生します。経費を正しく計上すれば、課税所得を適切に抑え、税負担の軽減につなげられます。
一方、事業と関係のない支出を経費にしたり、減価償却が必要な資産を一括で計上したりすると、税務上の問題につながる可能性があります。税務調査で追徴課税、申告漏れなどにならないようにうまく経費を計上しなければなりません。
この記事では、建設業で経費にできるもの・できないものを一覧で紹介するとともに、判断に迷いやすい支出や、経費を計上するときの注意点について税理士が解説します。
建設業の経費とは?基本的な考え方
建設業に限らず、上手な経営はいかにして合法な経費を計上して、課税所得を減らせるかにあります。
まず、建設業全般における経費の基本的な考え方について理解しておきましょう。
経費とは事業収入を得るために必要な支出
経費とは、事業を行って収入を得るために必要な支出のことです。
建設業では、工事に使用する材料や工具、現場への移動費など、さまざまな支出が発生します。
これらを必要経費として適切に計上することで、所得を正しく計算できます。
ただし、支出したものがすべて経費になるわけではなく、事業との関係性が重要です。仕事で使ったものしか経費として計上できません。
建設業では現場に直接かかる費用が多い
建設業では、工事を行うために材料を仕入れたり、工具を購入したり、現場まで車で移動したりするなど、仕事に直接関連する支出が多く発生します。
また、工事の一部を他の職人に依頼すれば外注費も発生します。
こうした現場に直接かかる費用は、建設業における代表的な必要経費です。
経費になるかどうかは「事業との関連性」が重要
経費として認められるかどうかを判断する際は、その支出が事業を行うために必要だったかどうかが重要です。
例えば、現場で使用する工具は経費になりやすい一方、プライベートで購入した日用品は原則として経費にはできません。
仕事と私生活の両方で使用するものは、事業で使用した部分を合理的に区分する必要があります。
建設業で経費にできるもの一覧
まず建設業を営むみなさまが経費として計上できるものをまとめました。これらについては、しっかり領収証などを保存したうえで、会計の際経費として計上できます。
領収証など確かに経費として支出したことを証明できるものがない場合、経費計上できない可能性があります。
材料費
工事に使用する木材、鉄材、電線、配管、塗料、コンクリート、ネジなどの購入費は、代表的な経費です。
自分で材料を仕入れて工事に使用する場合は、購入した材料の内容や金額が分かるように領収書や請求書を保管しておきましょう。
工事ごとに材料を管理しておくと、後から確認するときにも便利です。
外注費
工事の一部を他の職人(一人親方など)や事業者に依頼した場合に支払う費用です。
例えば、電気工事や足場工事などを他の専門業者へ依頼した場合、その支払いを外注費として処理することがあります。
ただし、実際の働き方によっては給与に該当する可能性もあるため、契約書の名称だけで判断しないことが大切です。
工具・消耗品費
インパクトドライバー、ドライバー、脚立、作業用手袋、ビスなど、仕事に使用する工具や消耗品の購入費です。
少額の工具や消耗品は、その内容に応じて必要経費として処理できます。
ただし、高額な工具や機械などは購入した年に全額を経費にせず、設備として減価償却が必要になる場合があります。
車両費・ガソリン代
現場への移動や材料の運搬など、事業に使用する車両のガソリン代、車検費用、自動車保険料などが該当します。
自家用車を仕事とプライベートの両方で使用している場合は、事業で使用した割合を合理的な基準で計算して経費にできます。
仕事で使った分を明確に説明できるよう記録しておきましょう。
旅費交通費
仕事で電車やバス、タクシーなどを利用した場合の交通費や、出張に伴う宿泊費などが該当します。
現場への移動など、事業上必要な交通費であれば経費として計上できます。
プライベートの旅行費用などは経費にならないため、仕事と私用の支出を明確に分けて管理することが大切です。
地代家賃・駐車場代
事務所や作業場、資材置き場などを借りている場合の家賃や、仕事で使用する駐車場の料金などです。
自宅(賃貸)の一部を事務所として使用している場合は、家賃全額ではなく、事業で使用している部分を合理的な基準で按分します。契約内容や使用実態も確認しておきましょう。
通信費
仕事で使用する携帯電話、固定電話、インターネットなどの料金です。
元請業者との連絡や現場写真の送信など、事業に必要な通信にかかった費用を経費として計上できます。
スマートフォンやインターネットを私生活でも利用している場合は、事業で使用した部分だけを経費にする必要があります。
水道光熱費
事務所や作業場などで事業のために使用した電気、水道、ガスなどの料金です。
自宅と事務所を兼用している場合には、事業で使用した部分を合理的な基準で按分します。
使用時間や使用面積など、実際の利用状況を踏まえて事業分を計算することが重要です。
接待交際費・会議費
取引先や元請業者、協力会社などとの打ち合わせや接待にかかった飲食代、贈答品などが該当する場合があります。
ただし、自分一人で食べた通常の昼食、友人や家族との食事、飲み会など個人的な飲食費は当然経費にはできません。
誰と何の目的で利用したのかを記録しておくと、事業との関連性を説明しやすくなります。
広告宣伝費
仕事を受注するためにホームページを作成したり、インターネット広告を出したりした場合の費用です。
チラシや名刺、看板など、事業の宣伝に使用するものも広告宣伝費として処理できる場合があります。
仕事を獲得するために必要な支出であることが分かるよう、請求書や領収書を保存しておきましょう。
損害保険料・各種保険
事業用の車両にかかる自動車保険や、工事中の事故などに備えるための損害保険料などは、事業に必要な保険であれば経費になる場合があります。
一方、生命保険などは所得控除の対象です。経費になるのか、個人の確定申告の際に控除対象になるのか判断します。二重計上はNGです。
租税公課
事業に関連して納付する税金や公的な負担金のうち、必要経費として認められるものがあります。
例えば、個人事業税や事業用資産にかかる固定資産税、自動車税などが該当する場合があります。
一方、所得税や住民税は必要経費にはできません。また、消費税の処理は税込経理・税抜経理などによって異なるため注意が必要です。
減価償却費
車両、重機、機械、高額な工具など、長期間にわたって使用する資産は、購入した年に全額を経費にするのではなく、原則として耐用年数に応じて複数年に分けて経費にします。
減価償却は会計ソフトで計算できる場合もありますが、資産の種類や取得価額によって処理が異なるため、判断に迷う場合は税理士に相談しましょう。
建設業で経費にできないもの
建設業で経費にできないものもあります。
税務調査が入った場合、これらを経費として計上していると、指摘され、追徴課税や重加算税を課される可能性もあります。
しっかりチェックしてください。
個人的な水道光熱費
自宅で生活するために使用した電気代や水道代など、事業と関係のない水道光熱費は経費にできません。
ただし、自宅の一部を事務所として使用している場合は、事業で使用した割合を合理的な基準で計算し、その部分を水道光熱費として計上できる場合があります。
プライベートな飲食・旅行費
仕事とは関係のない個人的な食事代や旅行費は、原則として必要経費にはできません。
例えば、家族との旅行や普段の昼食などは事業に必要な支出とはいえないためです。
一方、取引先との打ち合わせ会食や出張など、事業との関連性を合理的に説明できる支出は経費にできます。
所得税・住民税・法人税
所得税や住民税など、自分自身の所得に対して課される税金は必要経費にはできません。
個人事業主である一人親方の場合、法人税はそもそも対象になりません。
一方、個人事業税や事業用資産にかかる固定資産税など、事業に関連する税金は必要経費になる場合があります。
罰金・交通違反の反則金
交通違反の反則金や罰金など、違反行為に対して課される金銭的な制裁は、原則として必要経費にはできません。
仕事中に使用していた車で交通違反をした場合でも、反則金そのものを経費として処理することはできないため注意しましょう。
建設業で経費にできる?Q&Aで解説
建設業の業務に関係する支出なので経費にできるならしたい。
そうした疑問にお答えできるようQ&Aで解説していきます。
作業服・安全靴は経費になる?
仕事で使用する作業服や安全靴、ヘルメットなどは、事業に必要なものであれば経費にできる場合があります。特に仕事専用として使用するものは、事業との関連性を説明しやすいでしょう。
一方、プライベートでも使用する一般的な衣類については、経費として認められませんので、注意が必要です。
昼食代・弁当代は経費になる?
現場で働く一人親方が通常の昼食や弁当を購入した場合、個人の生活費にあたるため経費にはできません。
ただし、取引先との打ち合わせを伴う飲食など、事業上必要な支出であれば経費として認められる場合があります。利用目的を明確にしておきましょう。
自動車の購入費は経費になる?
仕事で使用する自動車は事業に必要な資産として扱える場合があります。
ただし、車両の購入費をその年に全額経費にできません。
原則として減価償却によって複数年にわたって経費にします。
プライベートでも使用する場合は、事業で使用した割合を考慮する必要があります。
自宅の家賃・電気代は経費になる?
自宅で事務作業を行っている場合でも、家賃や電気代の全額を経費にできるわけではありません。
事業で使用している部屋の面積や使用時間など、合理的な基準によって事業分と生活分を分ける「家事按分」が必要になります。
按分割合を決めておくことが大切です。
料理やお風呂を沸かすガスはどこまで経費にできるのでしょうか?仕事で使わないなら難しいですよね。
資格取得・講習会費は経費になる?
現在行っている事業に必要な資格の取得費用や、仕事に必要な技能を身につけるための講習会費などは、事業との関連性があれば経費にできる場合があります。
ただし、事業とは関係のない資格や、将来の転職など個人的な目的の費用については、経費として認められない可能性があります。
建設業の経費について税理士に相談したほうがよいケース
税務処理、何を経費にできるのか、専門家である税理士に聞いた方がよいケースもあります。
以下に該当する場合、川村会計事務所にお気軽に質問をして下さい。
高額な車両・重機・設備を購入した
車両や重機、機械など高額な設備を購入した場合は、減価償却や耐用年数などの判断が必要になることがあります。
事業用とプライベート用を兼ねている場合は、さらに事業使用割合の計算も必要です。
購入後に処理方法で迷わないよう、できれば購入前に税理士へ相談しましょう。
外注費と給与の区別に迷っている
他の職人や一人親方に仕事を依頼した場合でも、支払いを「外注費」にすればよいとは限りません。
実際の働き方によっては、税務上の給与(つまり雇用関係)に該当する可能性があります。契約書の名称だけで判断するのではなく、仕事の指揮命令関係や報酬の支払い方なども含めて確認することが重要です。
自宅兼事務所で家事按分をしている
自宅を事務所として利用している一人親方は、家賃や電気代、インターネット料金などについて家事按分が必要になります。全額経費計上はできません。
どのような基準で事業分を計算するかによって処理が変わるため、割合の設定に迷う場合は税理士に相談すると安心です。
法人化を検討している
売上や利益が増えて法人化を検討する段階では、単純に税金だけを比較するのではなく、社会保険料や法人の維持費、役員報酬なども含めて判断する必要があります。
個人事業主のまま続ける場合と法人化した場合の税負担を比較するためにも、法人成りを決める前に税理士へ相談しましょう。
税務調査の通知を受けた
税務署から税務調査の通知を受けた場合、自分だけで対応することに不安を感じる方も少なくありません。特に経費の計上方法や家事按分、外注費などに判断が必要な項目が多い場合は、税理士への相談をおすすめします。
必要な帳簿や領収書などを整理し、事実に基づいて対応しましょう。
【まとめ】建設業の経費は事業との関連性を意識して正しく計上しよう
建設業の一人親方は、材料費や工具代、車両費、外注費など、さまざまな支出を経費として計上できます。
ただし、プライベートな支出まで経費にすることはできません。事業との関連性を明確にし、領収書や帳簿を適切に管理しましょう。
判断に迷う経費がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。
当事務所では建設業の開業の相談・サポートをしています。
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