一人親方が知っておきたい確定申告とは?その内容を徹底解説!
一人親方として仕事を始めると、雇われて働いているころとは異なり、自分で売上や経費を管理して確定申告を行う必要があります。
「確定申告は何をすればよいのか」「どこまで経費にできるのか」「青色申告を選んだほうがよいのか」など、初めての方は分からないことも多いでしょう。
特に建設業の一人親方は、材料費や工具代、車両費、外注費などさまざまな支出が発生します。適切に経費を計上することで、所得を正しく計算できます。
本記事では、一人親方の確定申告について、基本的な仕組みから経費、注意点、税理士に依頼したほうがよいケースまで分かりやすく解説します。
一人親方に確定申告が必要な理由
一人親方は、会社に雇用されて給与を受け取る会社員とは異なり、個人事業主として自分で事業を行っています。
そのため、1年間の売上や必要経費を整理し、所得を計算したうえで、原則として自分で確定申告を行います。
確定申告は単に税金を計算するためだけの手続きではありません。日々の取引を適切に記録し、自分の事業がどの程度利益を上げているのかを経営者として把握する機会にもなります。
一人親方は個人事業主として確定申告を行う
一人親方として独立して事業を行っている場合、一般的には個人事業主として所得を申告します。
会社員であれば、勤務先が年末調整を行うことで所得税の精算ができます。しかし、一人親方には会社がないため、自分で売上や経費を集計して所得を計算し、必要な申告・納税を行わなければなりません。
そのため、日頃から請求書や領収書などを整理し、帳簿を作成しておくことが重要です。
売上ではなく所得をもとに税金が決まる
一人親方の所得税は、単純に年間の売上だけを基準に計算するわけではありません。
基本的には、事業による収入から、その収入を得るために必要となった経費を差し引いて所得を計算します。
例えば、年間売上が500万円で必要経費が200万円だった場合、単純化すると事業所得は300万円となります。実際の税額は、ここから青色申告特別控除や所得控除などを考慮して計算します。
そのため、経費を正しく把握すること、合法な経費を計上することは、適正な納税額を計算し、節税するうえでも重要です。
青色申告を選ぶメリット
確定申告には大きく分けて青色申告と白色申告があります。
青色申告を選択すると、一定の要件を満たした場合に青色申告特別控除(課税所得が減る)を受けられるほか、事業の状況を帳簿によって管理しやすくなるなどのメリットがあります。
特に最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、e-taxや複式簿記による記帳などの要件を満たす必要があります。条件によっては10万円ないし55万円の控除になります。
簿記に慣れていない一人親方の場合、会計ソフトを利用すると記帳の負担を軽減しやすくなります。
一人親方が経費にできるもの
一人親方が確定申告をする際は、事業に必要となった支出を必要経費として適切に計上することが大切です。
ただし、支出したものがすべて経費になるわけではありません。基本的には、事業を行い収入を得るために必要な支出かどうかという点が重要になります。
建設業の一人親方では、現場で使用する材料や工具、現場までの交通費など、仕事に直接関係する支出が数多くあります。
材料費・工具・消耗品費
工事に使用する木材、電線、配管、塗料などの材料を購入した場合、その事業上の必要性に応じて経費として処理します。
また、作業用の工具や手袋、ヘルメットなどの消耗品も、事業に必要なものであれば経費になる場合があります。
ただし、高額な工具や機械などは購入時に全額を経費にするのではなく、減価償却が必要になるケースがあります。金額の大きな設備を購入した場合は、処理方法を確認しましょう。
車両費・ガソリン代・駐車場代
現場への移動や材料の運搬に使用する車両について、ガソリン代や駐車場代、高速道路料金などを経費にできる場合があります。
一方で、自家用車を仕事とプライベートの両方で使用している場合、支出の全額を経費にできません。
事業で使用した割合を合理的な基準で計算し、事業利用分を経費として計上する「家事按分」が必要になる場合があります。
外注費・通信費・保険料
工事の一部を他の職人や業者に依頼した場合の外注費、取引先との連絡に使用するスマホやインターネットの通信費なども、事業との関連性があれば経費になる可能性があります。
また、事業用車両の任意保険など、事業に必要な保険料も経費として処理できる場合があります。
ただし、保険の種類によって税務上の取り扱いが異なるため、判断に迷う場合は専門家に確認しましょう。
自宅や車を仕事でも使う場合の家事按分
一人親方の場合、自宅の一部を事務作業に使用したり、自家用車を現場への移動に使ったりするケースがあります。
このように事業用とプライベート用の支出が混在する場合は、事業で使用している部分を合理的な基準で分ける必要があります。
例えば、自宅の一室を仕事専用のスペースとして使用している場合は、床面積などを基準に按分する方法があります。重要なのは、なぜその割合にしたのか説明できる根拠を用意しておくことです。
一人親方の確定申告で注意したいポイント
確定申告では、単に会計ソフトへ数字を入力すればよいわけではありません。
売上の計上漏れや経費の誤りがあると、正しい所得を計算できなくなります。日々の取引を適切に管理し、申告時に慌てないよう準備しておきましょう。
領収書・請求書を整理して保存する
材料費や工具代、ガソリン代などの支出については、領収書やレシート、請求書などの証拠書類を整理して保存しておきましょう。
確定申告の直前に1年分をまとめて処理しようとすると、入力漏れや経費の計上ミスにつながる可能性があります。
会計ソフトを利用する場合も、領収書を受け取ったら定期的に記帳する習慣をつけることが大切です。
事業用とプライベートのお金を分ける
事業用の銀行口座やクレジットカードを用意し、プライベートの支出と分けて管理すると、記帳が容易になります。
すべてのお金を一つの口座で管理していると、どの支出が事業経費なのかを後から確認する手間が増えます。
完全に分けることが難しい場合でも、事業とプライベートの取引を明確に区別できるよう管理しましょう。
高額な工具・車両・重機は減価償却に注意
建設業では、車両や重機、機械、工具など比較的高額な設備を購入することがあります。
こうした資産は、原則として購入した年に全額を経費にするのではなく、耐用年数に応じて複数年にわたって経費にする「減価償却」が必要になる場合があります。
また、一定の要件を満たす青色申告者については、少額減価償却資産の特例などを利用できる場合もあります。
高額な資産を購入した場合は、購入前に税理士へ相談すると安心です。
一人親方の確定申告に関するよくある質問
一人親方の確定申告について、特に疑問の多いポイントをまとめます。
一人親方はいくら稼いだら確定申告が必要ですか?
確定申告が必要になるかどうかは、単純な売上金額だけで決まるわけではありません。
事業所得については、売上から必要経費を差し引いた所得をもとに判断します。また、所得控除などによっても申告が必要かどうかが変わる場合があります。
なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になるケースがあるため注意しましょう。
一人親方の確定申告で経費にできるものは何ですか?
建設業の場合、材料費、工具・消耗品費、ガソリン代、駐車場代、通信費、外注費など、事業を行うために必要な支出が代表的な経費です。
ただし、プライベートな支出は原則として経費にはできません。事業と私生活の両方に使用する車や自宅などについては、事業利用分を適切に区分する必要があります。
飲食費は取引先との会食・同業者との会食など限られた用途になります。
一人親方は青色申告と白色申告のどちらがよいですか?
節税や帳簿管理を重視するのであれば、青色申告を検討する価値があります。
青色申告には一定の要件がありますが、青色申告特別控除などのメリットがあります。一方、複式簿記などの記帳が必要になるため、白色申告よりも事前の準備が必要です。
会計ソフトを利用すれば簡単に記帳できるため、青色申告を選択する一人親方も少なくありません。
一人親方の確定申告を税理士に依頼するといくらかかりますか?
税理士への依頼費用は、売上規模や取引件数、記帳を誰が行うか、確定申告だけを依頼するのか顧問契約を結ぶのかなどによって異なります。
そのため、一律に「〇万円」とはいえません。
確定申告のみを依頼する場合でも、記帳済みの資料を渡すケースと、領収書の整理からすべて依頼するケースでは料金が変わることがあります。依頼前にサービス内容と料金を確認してください。
一人親方が確定申告をしないとどうなりますか?
確定申告が必要であるにもかかわらず申告しなかった場合、「脱税」になる可能性があり、後から税務署から申告を求められる可能性があります。
本来納めるべき税金に加えて、無申告加算税・重加算税や延滞税などが発生する場合もあります。
「申告が必要か分からない」という段階でも、そのまま放置するのではなく、我々にご相談ください。
一人親方が確定申告を税理士に依頼したほうがよいケース
一人親方の確定申告は自分で行うこともできますが、事業規模が大きくなったり、判断が難しい取引が増えたりすると、専門家に依頼するメリットが大きくなります。
特に以下のようなケースでは、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
初めて確定申告をする
初めて確定申告をする場合、帳簿の作成方法や経費の判断、青色申告の手続きなど、分からないことが多くなりがちです。
最初の段階で正しい記帳方法を身につけておけば、翌年以降の経理もスムーズになります。
自分で会計ソフトを使う場合でも、一度税理士に確認してもらうと安心です。
消費税の申告が必要になった
インボイス制度への登録などによって消費税の申告が必要になると、所得税の確定申告とは別に消費税の計算・申告が必要になります。
課税売上や仕入れにかかる消費税を計算する必要があり、簡易課税制度などの選択肢もあります。
消費税の処理に不安がある場合は、税理士への相談を検討しましょう。
車両・重機など高額な設備を購入した
建設業では、仕事のために車両や重機など高額な設備を購入することがあります。
減価償却の方法や耐用年数、事業とプライベートの使用割合など、複数の判断が必要になるケースもあります。
購入後ではなく、できれば購入する前に税理士へ相談しておくと、税務上の取り扱いを確認したうえで設備投資を検討できます。
記帳や経費の判断に自信がない
「会計ソフトを導入したものの、どの勘定科目にすればよいか分からない」「この支出を経費にしてよいのか不安」という場合は、無理に自己判断を続ける必要はありません。
税理士に相談することで、事業の内容に合わせた記帳方法や経費の考え方を確認できます。
経理にかかる時間を減らし、本業である現場の仕事に集中したい一人親方にとっても、税理士への依頼は有効な選択肢です。
【まとめ】一人親方の確定申告は早めの準備が重要
一人親方は個人事業主として、自分で売上や経費を管理し、必要に応じて確定申告を行う必要があります。
確定申告では、売上を正しく計上するだけでなく、事業に必要な経費を漏れなく把握することも重要です。経費に計上しなければ余計に納税して手取りが減ります。
建設業では材料費や工具代、車両費、外注費などさまざまな支出が発生するため、領収書や請求書を日頃から整理しておきましょう。
また、青色申告や減価償却、家事按分、消費税などは判断が難しくなることがあります。
「初めての確定申告で何をすればよいか分からない」「経費の判断に自信がない」「会計ソフトを使っているが正しく処理できているか不安」という一人親方の方は、税理士への相談を検討してみてください。
当事務所では一人親方の開業の相談・サポートをしています。
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