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新創業融資制度とは?必要書類や審査に通過するポイントについて解説

新創業融資制度とは、日本政策金融公庫が取り扱う新規創業者向けの融資制度です。

他の融資制度を無担保・無保証人として利用するためのもので、単体で機能する融資制度ではないため、使い方や申請方法に戸惑う方も多いと思います。そこで本記事では、新創業融資制度の仕組みや該当条件、金利、申し込み手順などについて解説いたします。

新創業融資制度とは?

2002年1月に新設された日本政策金融公庫が取り扱っている新規創業者向けの融資制度です。

開業前または開業してから2期を経過するまでの方を対象としたもので、無担保・無保証人で上限3,000万円まで融資できることもあり、人気の融資制度となっています。

新創業融資制度の限度額

融資の上限額は3,000万円とされていますが、実質1,000万円を超える融資が降りたケースは少なく、一般的には300万円前後の相場が妥当です。しかし、自己資金が1,000万円を超えていたり、損益計画書や事業計画書により、融資をする現実的根拠が認められれば、1,000万円超の高額融資を受けることも可能です。

新創業融資制度の該当条件

新創業融資制度は、開業前または開業してから2期を経過するまでの方を対象としたもので誰でも受けられる制度ではありません。

それに加え、「雇用創出等の要件」や創業資金総額の1/10以上の自己資金の保有が必要な「自己資金要件」を満たす必要があります。なお、事業に使用しない預金などは自己資金に含まれないので注意しましょう。

ただし、例外措置として、「現在または過去勤めていた企業と同業種の事業を始める場合」という条件があります。つまり、飲食業で開業する場合、前職で飲食業に勤めていた場合は、この自己資金要件を満たす必要がありません。

新創業融資制度と新規開業資金との違い

新規開業資金は、新規事業を始める人または事業開始から7年以内の人が対象となる融資制度です。
大きな違いは、法人の代表者が連帯保証責任を負うかどうかです。

ただし、新規開業資金の場合は、融資限度額が7,200万円、返済期間は設備資金で20年、運転資金で7年と、親創業融資制度よりも規模が大きく、1,000万円程度の大型融資の実現性も高い融資となっています。

新創業融資制度の金利や返済期間

新創業融資制度は、新規開業資金、新事業活動促進資金といった融資制度を無担保・無保証として利用するためのもので、単体で機能する融資制度ではありません。そのため、金利や返済期間は、利用する融資制度によって変動します。詳しくは日本政策金融公庫の融資制度はこちらをご覧ください。

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/

新創業融資制度においては、代表者(または共同経営者)が連帯保証人になるなどの条件を満たせば利率を0.1%低減できます。さらに、「創業支援貸付利率特例制度」も併用すると、さらに基準利率から0.2〜0.3%低減できます。

創業支援貸付利率特例制度とは?

創業支援貸付利率特例制度は、新規で事業を興す方、事業開始から税務申告2期未満の方対象の融資制度で、各融資制度の利率を0.2%低減します。女性または35歳未満でUターンで地方で創業をされる方は0.3%の低減になります。

新創業融資制度で必要な書類

新創業融資制度に必要な書類は以下のとおりです。

・創業計画書

・借入申込書

・履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

借入申込書

借り入れをするときに必要な書類です。公庫の支店窓口でもらえるほか、日本政策金融公庫の公式ホームページよりダウンロード可能です。

創業計画書

創業する事業内容を説明する書類です。創業の動機、事業経験、取扱商品・サービス、販売先・仕入先、資金調達の方法、収支計画など、具体的な見通しを記載します。借入申込書と同様に、公庫の公式ホームページよりダウンロード可能です。

履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

法務局に登録されている会社の登記情報を証明する書類のこと。新創業融資制度の申し込みが法人の場合は、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の提出が必要となります。

法務局で窓口で受け取るか、あるいはオンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」でも入手可能です。

このほか、事業内容や状況に応じて、登記簿謄本または登記事項証明書、月別収支計画書、賃貸借契約書(写し)、見積書などが必要になります。

また、飲食業、美容業、クリ-ニング、ホテル、旅館業など、生活衛生関係営業法に関わる事業者で、借入申込金額が500万円を超えている場合は、都道府県知事の「推せん書」または生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」が必要になります。

新創業融資制度の手続きの流れ

新創業融資制度の手続きを行うには、まず融資の申し込みを行い、その後面談、審査、融資実行という流れになります。

相談

創業する事業の所在地となる住所から最寄りの管轄支店に相談に行きます。この際に、必要書類や追加で申込み可能な融資制度も聞いておきましょう。

融資の申し込み

前述した必要書類を作成した上で、融資の申し込みをします。この時点で、創業計画書の内容について質問されることはありません。

面談

申し込みからおよそ7〜10日程度で、面談日程が設定されます。面談の時間はだいたい1時間程度です。

面談では、創業の同期や過去の経歴、これからどのような事業を進めていくのか、今後の見通しについて聞かれます。

審査結果の通知

新創業融資制度の審査期間は、およそ7〜10日前後ですが、担保を提供する場合は、査定に時間がかかるため、30日程度は見ておいたほうがベターです。郵送で審査結果と契約書類が送られてくるので、必要な箇所に記入をし返送します。

融資実行

返送後、3日程度で指定の口座に融資額が振り込まれます。

新創業融資制度の審査期間

一般的に申し込みから融資まで1ヶ月程度ですが、書類に不備があったり、担保を提示する場合は、さらに審査期間が伸びる可能性があります。ただし、申し込みが2回目以降の場合(公庫からの融資を完済してから3年経過した場合を除く)は、1〜3週間程度になります。

新創業融資制度の審査に通るためのポイント

新創業融資制度の審査に通過するためには、以下の3つのポイントを満たせるように心がけましょう。

支払いの滞納がない

これは、どの融資制度でも言えることですが、クレジットカードやローン、税金の滞納などが過去にあった場合は返済能力に問題があると見なされ、審査に落ちることがあります。特に、税金の滞納がある場合は、審査に落ちる可能性が非常に高いです。

十分な自己資金

前述したように、現在または過去勤めていた企業と同業種の事業を始める場合には自己資金要件は除外となりますが、それでも融資審査において手元の自己資金が多いに越したことはありません。

自己資金を少しでも多く見せようと、親族や知人からお金を一時的に借りる「見せ金」を使うことは絶対にやめましょう。記帳履歴などもすべてチェックされるため、公庫担当者に不信感を与えることになります。

信頼性と実現可能性

信頼性とは、後述する同業の事業経験の有無にもつながる話ですが、過去の経歴や実績のことを指します。

事業を計画に沿って展開できるかという信頼性をどう見せられるかが重要です。
また、事業計画または創業計画が絵に描いた餅ではなく、しっかりと現実に基づいたものになっているか、実現可能性の部分も判断材料の一つになります。すでに事業を開始している場合は、注文書や契約書などを提示することで、信憑性を高めることができます。

同業の事業経験の有無

新創業融資制度の該当条件、「雇用創出等の要件」には、以下のような記載があります。

・現在の企業に継続して6年以上お勤めの方

・現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

これ以外の「雇用創出等の要件」のいずれかに該当していれば問題ありませんが、事業経験の有無は、事業拡大が成功する根拠としては非常に大きい要素です。
そのため、未経験の業界で創業される方は、創業計画書を作り込み、実現可能性を伝えていくことが重要です。

まとめ

新創業融資制度は、限度額が3,000万円、無担保・無保証人と、創業者にとっては破格の待遇で利用できる融資制度ですが、その分、応募者の数も多く審査の難易度も高めです。

当会計事務所では、新創業融資制度の書類作成、チェック、手続きのサポートを行っています。ぜひ、一度お問い合わせしてみてください。

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