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本則課税と簡易課税の違い|インボイス制度を踏まえると、どちらを選択するのがベスト?

インボイス制度が始まったのを機に、消費税の処理方法について、従来通りの本則課税にするか、それとも簡易課税にすべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は、本則課税と簡易課税の違いや特徴について詳しく解説します。

本則課税制度(原則課税・一般課税)とは?

本則課税制度とは、売上に係る消費税額から、仕入れに係る消費税額を差し引いて消費税額を算出する方法です。一般的には下記のような計算式になります。

消費税額=売上に係る消費税額(仮受消費税)ー仕入れに係る消費税額(実額)(仮払消費税)

また、仕入れに係る消費税額は以下の3種類に区分されます。 

  • 課税売上に係るもの
  • 非課税売上に係るもの
  • 課税非課税売上のどちらにも係るもの

仕入れに係る消費税額の計算は、一つ一つの取引に消費税が係るか判断しなければならないため、事務負担が大きい制度といえるでしょう。ただし、消費税の納税はこの方法が原則とされており、「本則課税」の他に「原則課税」「一般課税」という呼び方をすることもあります。

本則課税制度のメリット

本則課税制度のメリットは、大きく以下の2つが挙げられます。

適用期間の強制がない

本則課税では、利用制度変更における適用期間の制限がありません。簡易課税を選択すると、2年間は制度利用の変更手続きを行うことができないため、注意が必要です。

今後、売上の見通しが読めない場合は、本則課税を選択した方が節税になる可能性があります。

設備投資をした場合は有利に働く

該当年度に高額な設備投資を行った場合などは、過払い還付制度を使うことができます。一例として、売上高が1,000万円、設備投資を含む仕入高が1,500万円と仮定した際の計算式は、以下のようになります。

消費税の納付額=1,000万円×10%ー1,500万円×10%=▲50万円

本則課税では、この50万円は後で還付されます。一方、簡易課税では一律に課税されてしまうため、このケースでは不利になってしまいます。

簡易課税制度とは?

簡易課税制度とは、売上に係る消費税(仮受消費税)から、消費税の納税額を簡単に算出することを認める制度です。計算式は以下の通りです。

消費税額=課税売上に係る消費税額(仮受消費税)ー課税売上に係る消費税額(仮受消費税)×みなし仕入率

なお、みなし仕入率は業種別に定められています。最も高いのが卸売業で90%、最も低いのが40%で不動産業です。詳しくは下表をご参照ください。

【業種別みなし仕入率】

事業区分

みなし仕入率

第1種(卸売業)

90%

第2種(小売業)

80%

第3種(農林水産業、鉱業、建設業、製造業、光熱水道業)

70%

第4種(飲食店業その他の事業)

60%

第5種(サービス業・運輸通信業、金融・保険業)

50%

第6種(不動産業)

40%

参照:No.6509 簡易課税制度の事業区分

簡易課税制度の対象条件について

簡易課税制度を利用するには、2期前の課税売上高が5,000万円未満で、かつ管轄の税務署に届出書を提出していることが条件となります。

2期前の課税売上高が5,000万円以下であること

簡易課税制度の適用を受けられる条件の1つが、2期前の課税売上高が5,000万円未満(原則税抜価格)であることです。なお、基準期間内の課税売上高が5,000万円を超えた場合は、本則課税方式に基づいて納税をしなければなりません。

管轄の税務署に届出書を提出していること

簡易課税制度を利用するには、「消費税簡易課税制度選択届書」の提出が必要です。届出用紙に必要事項を記入し、郵送、窓口持参、e-Taxのいずれかの方法で管轄の税務署に提出します。なお、翌課税期間からの計算ではなく、登録日を基準にして納税義務が発生するため注意してください。

簡易課税制度のメリット

簡易課税制度を利用すると、事務負担の軽減や納税する消費税額を予測しやすいなどのメリットがあります。

事務負担の軽減

本則課税制度では仮受消費税と仮払消費税の差額が納税額となります。ただし、一般税率と軽減税率の品目や、非課税取引や不課税取引が混在していることがあり、正確な消費税額の算出にはそれ相応の労力がかかります。それに対して、簡易課税制度は仕入税額控除の計算が簡素化されるため、事務負担が軽減します。

納税する消費税額を予想しやすい

本則課税では、仕入れ別に消費税額の計算を行わなければいけないため、納税額を正確に予測することが難しいです。

一方、簡易課税制度は課税売上に係る消費税額にみなし仕入率を乗じるだけなので、納税額の予測が立てやすくなります。

本則課税制度と簡易課税制度の違い

改めて、本則課税制度と簡易課税制度について「適用期限」と「計算方法」の2つの観点から違いを整理します。

適用期限の違い

本則課税制度は、適用期間の制限がありません。一方、簡易課税制度は、原則2年経過しないと本則課税制度への切り替えができません。そのため、直近で大きな設備投資を予定している、外国法人との取引を検討している場合は、簡易課税制度の適用は慎重に検討することをおすすめします。

計算方法の違い

大きな違いは、仮受消費税から差し引かれる部分の計算です。本則課税制度では、「課税仕入れ等にかかる消費税額(実額)」を差し引くのに対して、簡易課税制度では、「課税売上げに係る消費税額×事業別みなし仕入率」を差し引きます。後者の方が計算は簡易的です。

インボイスにも関係する?本則課税制度と簡易課税制度、どちらが良い?

簡易課税制度では、納税額の計算に利用するのは「仮受消費税額」と「みなし仕入率」だけであるため、取引先に適格請求書(インボイス)の発行を求める必要がありません。また、受領した請求書や納品書の保管も不要とされています。

まとめ

本則課税制度と簡易課税制度、どちらが自社に向いているのか、専門的な知見がないと、なかなか判断がつかないのではないでしょうか。また、2023年10月から本格施行したインボイス制度によって、さらに複雑化しています。

当事務所では、法人設立や融資相談、インボイス制度の導入のほか、全般的な税務に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでご連絡ください。

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