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オープンイノベーション促進税制(OI促進税制)とは?適用要件や節税効果をわかりやすく解説

オープンイノベーション促進税制(OI促進税制)とは、2020年に大企業とベンチャー企業の協業を促すことを目的に創設された税制優遇制度です。

本来、オープンイノベーション促進税制は2022年まででしたが、2023年度の税制改正によって2024年の3月まで延長されました。本記事では、オープンイノベーション促進税制の概要や適用要件、メリットなどについて解説します。

オープンイノベーション促進税制(OI促進税制)とは?

オープンイノベーション促進税制とは、大企業とベンチャー企業の協業を促進することを目的に創設された制度で、投資をする企業(以下、対象法人)がオープンイノベーションを目的としてスタートアップ企業の株式を取得した場合、株式価額の25%を課税所得から控除できます。

なお、オープンイノベーション促進税制には「新規出資型」と「M&A型」の2つがあり、それぞれ所得控除の上限額や要件が異なります。詳しくは後述します。

オープンイノベーション促進税制(OI促進税制)は延長された?適用期限はいつまで?

2023年度の税制改革で適用期限が2024年3月31日まで延長されました。また、対象となる企業の設立経過年数の要件についても一部緩和されました。

オープンイノベーション促進税制(OI促進税制)のメリット

オープンイノベーション促進税制を利用すると、対象法人は投資しながらも節税効果を得られ、出資を受けるスタートアップにとっては、会社の成長を加速させることができ、なおかつM&Aによる出口戦略が容易になるなどのメリットが得られます。

対象法人は節税効果が期待できる

先に述べたように、対象法人は取得した株式価額の25%を課税所得から控除できます。仮に1億円を出資、実効税率が23.2%とすると、以下のような節税効果を得られます。

【所得控除額】

1億円×25%=2,500万円(損金算入)

2500万円×23.2%=580万円(軽減される法人税等の額)

また、中小企業も出資が可能であり、1件あたり1,000万円からと定められています。内部留保されている資金を新技術や独創的ビジネスモデルへ投資することで、自社の成長にもつなげられるでしょう。

スタートアップの成長を加速できる

本税制では、対象法人が投資先であるスタートアップ企業の経営資源を活用し、新しい事業の構築や活動を目指すものです。

また、対象法人が資金面以外での成長支援を行うことも要件に含まれており、スタートアップ企業としては自社の成長をより加速させるための機会として活用できます。

スタートアップが出口戦略(M&A)に活用できる

本税制のM&A型では、成長のために投じなければいけない投資金額や、売上高成長率などが要件に含まれています。

そのため、M&Aをゴールとするのではなく、M&Aを起点に自社の研究開発の促進や、事業成長につなげることが可能となります。

オープンイノベーション促進税制(OI促進税制)の適用要件

オープンイノベーション促進税制を利用する際には、出資側・スタートアップ側双方に、厳密な適用要件が定められています。

対象法人の要件

「新規出資型」と「M&A型」いずれのタイプにおいても、下記の要件を満たしていることが求められます。

1.青色申告書を提出している法人

2.スタートアップ企業とのオープンイノベーションを目的としている法人

3.以下のいずれかに該当する法人

  • 株式会社
  • 相互会社
  • 農林中央金庫
  • 信用金庫および信用金庫連合会
  • 中小企業等協同組合

出資要件

出資要件は「新規出資型」と「M&A型」でそれぞれ以下のとおりです。

新規出資型

  • 資本金の増加を伴う現金出資であること
  • 1件あたりの出資下限金額を満たしていること
    • 大企業:1億円
    • 中小企業:1,000万円
    • スタートアップ企業が海外法人の場合:一律5億円
  • オープンイノベーションを目的とした出資である
  • 取得株式を3年以上保有することを予定している
  • 純出資等を目的とする出資でない

M&A型

  • 議決権の過半数を有する事となる株式取得である
  • 1件あたり5億円以上の出資である
  • オープンイノベーションを目的とした出資である
  • 取得株式を5年以上保有することを予定している
  • 純出資等を目的とする出資でない

なお、所得控除の上限額は、「新規出資型」で1件あたり12.5億円、「M&A型」で1件あたり50億円です。

出資を受ける側の要件

対象となるスタートアップ企業は、以下の要件を全て満たしている必要があります。また、新規出資型は外国法人も対象となりますが、M&A型は国内法人に限定されるため注意してください。

  • 未上場・未登録企業の株式会社である
  • 法人設立から10年未満であること(一定の要件を満たすと、設立15年未満も可)
  • 対象法人とのオープンイノベーションを行っているまたは行う予定がある
  • すでに事業を開始している法人である
  • 法人以外の者(LPS、民法上の組合、個人など)が1/3の株式を保有している
  • 一つの法人グループが株式の過半数を有していない
  • 風俗営業または性風俗関連特殊営業をしていない、暴力団員等が役員または事業活動を支配する会社ではない

適用要件や所得控除の上限額について詳しく知りたい方は、公式サイトを参照ください。

オープンイノベーション促進税制(OI促進税制)の利用手順

オープンイノベーション促進税制は、原則として電子申請サービス「gBiz FORM」を用いて手続きをする必要があります。

ここでは、簡単にオープンイノベーション促進税制の利用手順について解説します。

経済産業省への事前相談

まず、対象法人は経済産業省に事前相談を行います。事前相談では、案件の概要資料や案件登録票の提出が求められます。経済産業省の確認作業が終了後、要件適格の通達が来たら本申請に移行します。

スタートアップ企業への出資

同制度を利用して減税につなげたい場合、スタートアップ企業への出資割合に注意しなければなりません。また、CVC経由の投資も同制度を利用できます。その際は、以下の条件を満たさなければいけません。

  • 対象法人が、出資割合の過半数を占める
  • 投資事業有限責任組合(LPS)のうち
    • 対象法人の国内完全子会社が無限責任組合員(GP)となっている
    • 対象法人が単独の有限責任組合員(LP)となっている組合である

経済産業大臣へ証明書の交付申請

経済産業省から要件適格の通達が来たら、「gBiz FORM」にて交付申請を行います。必要な様式は以下のとおりです。 

  • 様式1:表紙
  • 様式2:対象法人に関する情報を記載したもの
  • 様式3:スタートアップ企業に関する情報を記載したもの
  • 様式4:オープンイノベーションの実施内容

別表の詳細や自社が同税制の適用要件に該当するか分からない場合は、事前相談の際に問い合わせてください。

また、スタートアップ側もgBiz FORM上で情報を共有し、様式3の内容に相違がないか経済産業省から確認を求められます。

証明書の交付

申請内容が認められたら、証明書が交付されます(様式5)。証明書は出資を行った事業年度末日以降に交付され、最長で60日かかります。

証明書交付には時間を要するため、証明書が必要なタイミングから逆算して申請手続きを行いましょう。

税務申告

税務申告の際には、以下の書類を所轄税務署に提出することで、減税措置を受けられます。

  • 法人税申告書
  • 法人税申告書別表
  • 様式5(証明書)
  • 様式5の別表

まとめ

オープンイノベーション促進税制は制度が複雑なうえ、特別勘定処理が必要であるなど、専門的な知見が求められます。同税制で不明点がある場合は、税理士や会計士などの専門家にご相談ください。

当事務所では、法人設立や融資相談のほか、全般的な税務・経理に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでご連絡ください。

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