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労働分配率と人時生産性の関係|求め方や適正水準(目安)もわかりやすく解説

会社の付加価値のうち、人件費が占める割合を示す「労働分配率」。財務分析において、人件費が適正な水準かどうかを判断する際に使われる非常に重要な指標です。

本記事では、労働分配率の重要性や人時生産性との関係、適正水準(目安)や計算方法について解説します。

労働分配率の意味とは?

労働分配率とは、会社の付加価値のうち、人件費が占める割合を示す指標のことを言います。財務分析において、人件費が適正な水準かどうかを判断する際に使われます。労働分配率は適正値を保つことが重要です。労働分配率が低ければ、業務量に対して過剰労働になっている可能性があり、優秀な人材が流出する恐れがあります。反対に労働分配率が高いと、従業員の士気は高まりますが、設備投資などに回せる資金が不足する可能性があります。

労働分配率の計算式・求め方

労働分配率は、下記の計算式で求めることができます。

人件費÷付加価値×100

なお、人件費には、給与や賞与、役員報酬だけでなく、退職金や法定福利費、福利厚生費、社会保険料なども含みます。

付加価値とは、その名のとおり、事業活動によって新たに加えられた価値のことを指します。付加価値を算出する方法としては2つで、「控除法」と「加算法」があります。控除法は売上高から外部購入費を差し引いた計算式で「中小企業庁方式」とも呼ばれます。一方、加算法は、原価を除き製造過程ごとに費用や利益を累積していく計算法で「日銀方式」とも呼ばれます。

中小企業の付加価値の考え方は、商品販売業では売上総利益いわゆる【粗利】、製造業の場合は売上ー(仕入・外注費)を付加価値と考えて労働分配率を計算しても構わないと思います。

労働分配率の適正水準(目安)

労働分配率は、業種や業界によって目安や平均値が異なります。基準は40〜50%と言われており、70〜80%に到達していると、企業経営の圧迫につながるため、見直しが必要です。

2012年と少し古いデータですが、財務省が業種別の労働分配率の統計を公表しています。そのデータによると、もっとも高いのは「教育、学習支援業」で88.1%、「社会福祉・介護事業」が85.8%、「他のサービス業」が78.7%と続きます。反対に労働分配率がもっとも低いのは不動産業で43.3%でした。

参照:経済センサスと経営指標を用いた産業間比較-平成24年経済センサス‐活動調査の分析事例①〔経理項目〕-|経済産業省

労働分配率と人時生産性の関係

人時生産性(にんじせいさんせい)とは、従業員の1人が、1時間あたりにどれだけ利益を出したかを表す指標です。労働分配率と人時生産性はまさに表裏一体の関係といえるでしょう。教育業界や介護業界など人的資源への依存度が高い労働集約型のビジネスは労働分配率が高く、人時生産性が低くなる傾向にあります。反対に、人的資源への依存度が低いとされる電気・ガス業やクレジットカード業、割賦金融業は人時生産性が高くなる傾向にあります。なお、人時生産性がマイナスの場合は赤字経営であることを示しているため、早急な見直しが必要でしょう。

労働分配率が高いとどうなる?

給与が高く、労働分配率が高い場合は、従業員のモチベーションが高くなり、生産性向上や売上アップにつながるかもしれません。優秀な人材の定着や確保も実現しやすくなります。一方で、人件費に偏りすぎると、設備投資など他のところに資金が回らなくなり、企業経営を圧迫する恐れがあるでしょう。従業員から反発が出ない範囲で、人件費を適正化したり、業務効率化をしたりすることが得策です。

労働分配率が低いとどうなる?

人件費に対して、多くの付加価値を出している場合、効率的に売上を出していることになります。例えば、業務効率化の取り組みや、高付加価値製品の開発による結果かもしれません。しかし、利益に対して、明らかに少ない給与を支払っていることで労働分配率が低くなっている場合は、長期的には生産性の低下や、離職率の悪化などを招くことになるため、注意が必要です。

労働分配率を適正に保つポイント

労働分配率を適正に保つには、以下3つのポイントが重要です。

労働生産性を改善する

労働生産性とは、従業員1人あたりが生み出す成果や付加価値を測る指標のことを言います。労働分配率を下げる方法としては、まず人件費の削減が考えられますが、従業員の不満や不信感につながり、長期的に見れば、生産性の低下や優秀な人材の流出といった事態を引き起こしてしまいます。

 

マニュアルやルールなどによる業務フローの平準化、RPAやSFA・CRMなどのICTツールの導入による自動化によって労働生産性を改善することで、従業員の給与を下げることなく、労働分配率を適正化できます。

人件費を削減せずに、粗利率を増やす

粗利率を増やす方法としては、変動費の圧縮、付加価値の向上の2つで実現ができます。短期的に効果を出したいのであれば、販売手数料や外注費などの変動費の圧縮になるでしょう。売上を増やすことなく、粗利率を改善できるからです。

業績連動型賞与制度の導入

業績連動型賞与にすることで、賞与が変動費となるため、粗利率が下がるものの、労働分配率を下げることができます。また、従業員の意欲やモチベーションを引き出すことができます。

まとめ

労働分配率は低すぎても高すぎても適切ではありません。40〜50%に保つのがベターです。適正水準(目安)から大きく乖離している場合には、本日紹介した内容を参考に、原因を考察し、改善の余地がないか検討してみましょう。

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