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法人成り(法人化)のメリットとタイミング|節税効果はどのくらいある?

個人事業主、フリーランスで売上を安定し増えてきたので、そろそろ法人成りを検討したい……。しかし、本当に法人成りして、節税ができるのか、また節税以外にどのようなメリットがあるのかと疑問に思う方も少なくないと思います。本記事では、法人成り(法人化)のメリット・デメリットについて解説いたします

法人成りとは?

法人成りとは、個人事業主が株式会社、合同会社・合資会社などを設立し、法人化することを指します。一定額を超える売上や利益がある個人事業主にとっては、法人成りをしたほうが税金が安くなるほか、責任範囲も有限になるメリットもあります。

以前は、株式会社は資本金1000万円以上、有限会社は資本金300万円以上が必要で、役員の数は、最低でも代表取締役を含む取締役が3名、監査役1名が必要でしたが、2008年におこなわれた会社法改正で、この最低資本金制度と役員数の制限は撤廃され、取締役1人、資本金は1円から設立できるようになりました。そのため、個人事業主から法人成りケースが非常に増えています。

起業と法人成りの違い

起業は、ゼロから新規で会社を設立することを指します。一方、法人成りは個人事業主のときに積み上げてきた実績、預金や売掛金などの資産、借入金や在庫といった負債も引き継ぎます。

法人成りのメリット

具体的に、法人成りをすると、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。給与所得控除、消費税の2年間免除など、さまざまな仕組みを活用し、節税ができます。

信用力の向上

金融機関からの資金調達、規模の大きい企業との取引において有利に働きます。手続きの煩雑さから法人化していないと取引を断れるケースもあり、ビジネスチャンスの拡大につながります。

所得税の節税

個人事業主の場合は所得税が、法人の場合は法人税が発生します。個人事業主は、累進税率が適用されているため、所得が高くなるほど税率が上がります。それに対し、法人は、税率が一定の比例税率が適用されています。そのため、所得が高い人ほど法人化したほうが節税効果が大きくなります。

消費税が最大で2年間免除される

以前は、資本金1,000万円未満の企業は、設立から2年間は消費税が免除されていましたが、2013年の消費税法改正の施行により、2期目以降は、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

・特定期間(前事業年度の開始の日以後6ヶ月)の売上額が1,000万円以下

・特定期間の給与等支払額が1,000万円以下

・設立1期目が7ヶ月以下の場合

給与所得控除を活用できる

個人事業主では、事業所得がそのまま自分の収入になりますが、法人化すると、役員報酬が収入になります。この役員報酬は給与所得控除が適用されます。給与所得控除は、給与に応じて計算方法が異なり、660万円以下の場合、4,000円刻みで控除額が定められています。詳しくは、国税庁の給与所得控除についてを参照ください。

家族従業員へ適正な給与額を支払える

個人事業でも、白色専従者給与や青色専従者給与などの制度活用により、家族従業員に給与を支払うことができますが、白色専従者は上限が50万円、青色専従者は、事前の申請が必要になります。法人の場合は、金額の制約もなく、適正な給与額を支払うことができます。ただし、家族を役員にする場合は、事前確定給与の提出が必須になります。

10年間赤字を繰越できる

個人事業だと、白色申告では変動所得または被災した事業資産の損失を最長3年間、青色申告では全損失を最長3年間繰り越せますが、青色申告をおこなっている法人の場合は、最長で10年間まで赤字を繰り越せます。赤字決算になることで、法人税の支払いがゼロになるだけでなく、前期分の法人税の還付金を受け取れます。

退職金制度を導入できる

個人事業では、退職金制度がありませんが、法人では退職所得控除を利用して節税ができます。また、退職金制度は自身以外の従業員や役員にも利用できます。なお、退職所得は以下の数式で計算されます。

(収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

責任範囲の限定

個人事業では、未払金や借入金などの負債はすべて代表が責任を負う「無限責任」が基本となります。しかし、法人では、出資金額の範囲内で責任を負う有限責任が適用されます。つまり、出資した金額以上の負債の返済に対する責任は残りません。

法人成りする適切なタイミングは?

法人成りをすると、節税効果や信用力の向上といったメリットもありますが、赤字でも住民税がかかるだけでなく、経理作業は個人事業主のときと比べると格段に難度が上がります。せっかく法人成りしたけど、メリットを見い出せず、個人事業主に戻ってしまうケースも少なくありません。法人成りをするのはどのようなタイミングが適切なのでしょうか?

売上高1,000万円以上の場合

年間で1,000万円の売上があれば法人化したほうがいいとアドバイスされた方も多いのでは?まず、年間で売上が1,000万円を超えると、翌年、または翌々年に消費税を支払う義務が発生します。このように、消費税を課税しなければならない人を課税事業者、売上が1,000万円以下で消費税の支払い義務のない方を免税事業者と呼びます。ただし、法人成りをすると、個人事業主の売上は計上されずリセットされ、最長で2年間までは消費税が免税になります。

所得が400万円以上の場合

個人事業主の場合は、所得税、住民税(地方税)、個人事業税が、法人の場合は、所得税、住民税(地方税)、法人住民税がかかります。

個人事業主の場合は、所得が増えるほど税金が上がる累進課税で、900万円超で所得税率は33%、4,000万円超で45%となります。また、所得が290万円以上に該当する事業者は、個人事業税が発生します。個人事業税は3区分70業種が課税の対象となり、区分ごとに税率は3~5%と変動します。一方、法人の場合、所得税は400万円以下、400万円超〜800万円以下、800万円超の3区分でわけられ、税率は25.99%〜33.59%の間にとどまります。

また、自分の給料または従業員に対して支払う役員報酬も経費に含めることができ、実質、支払う税金は安くなります。

まとめ

法人成りすれば、節税対策はより柔軟に、選択肢は格段に広がります。売上や所得が年々増えている傾向にあれば、これを機に個人事業から法人成りへ検討をしてみてはいかがでしょうか?

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