所得税の納付期限が過ぎた場合の対処法|延滞税・ペナルティを解説
所得税の納付期限を過ぎてしまい、「どうすればいいのか」と不安になっている方も多いでしょう。納付期限を過ぎると延滞税などが発生するため、できるだけ早い対応が求められます。この記事では、所得税の納付期限を過ぎた場合の対処方法から延滞金の計算方法までわかりやすく解説します。
所得税の納付期限を過ぎたらまず納付する
所得税の納付期限を1日過ぎた場合、翌日から自動的に延滞税が発生します。
しかし、すぐに行動することで延滞税の負担は最小限に抑えられます。
税務調査が入る前に自主的に申告を行えば、加算税の税率が軽減される特例もあります。
「バレなければ大丈夫」と放置するのは絶対にNGです。
税務署は申告状況を把握しており、無申告や滞納が長引くほどペナルティは重くなります。
法人の場合、金融機関からの信用や今後の資金調達にも影響する可能性があります。
まずは現時点での未納額を確認し、速やかに納付手続きを進めましょう。
所得税の納付期限
所得税には法定納付期限があります。まずは納付期限を把握しておきましょう。
源泉所得税の納付期限(法人・個人事業主の方)
源泉所得税は、給与や報酬を支払う事業者が天引きした所得税を国へ納付する制度です。
原則として、給与を支払った月の翌月10日までに納付する必要があります
例えば、4月に支払った給与から天引きした源泉所得税は、5月10日が納付期限です。
ただし、給与支給人員が常時10人未満の事業所は、申請により年2回のまとめ納付が可能です。
その年に源泉徴収した所得税等の納付期限は以下の通りです。
- 1月〜6月分:7月10日まで
- 7月〜12月分:翌年1月20日まで
(参考:源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁)
源泉所得税においても1日でも納付期限を過ぎてしまうとペナルティを課されるため、月次の資金繰りとあわせて厳格な期限管理が求められます。
所得税の納付期限(個人事業主・フリーランスの方)
個人事業主やフリーランスの場合、確定申告によって所得税額が確定します。
令和7年分(2025年分)の確定申告における所得税の納付期限は、令和8年3月16日(月)です。
毎年、確定申告期間は2月16日〜3月15日ですが、曜日によって若干変動します。
e-Taxを利用した場合でも、納付期限は同じです。
振替納税を利用している場合は、振替日が異なるので確認してください。
源泉所得税の期限を過ぎた場合
法人が源泉所得税の納付期限を過ぎた場合、複数のペナルティが発生します。ここでは代表的な「不納付加算税」と「延滞税」について整理します。
不納付加算税
不納付加算税は、源泉所得税を法定納期限後に納付しなかった場合に課される税です。
原則、源泉所得税額に対して10%が課税されます。
ただし、税務署から指摘を受ける前に自主的に納付した場合は5%に軽減されます。
例えば、源泉所得税50万円を期限後に自主納付した場合、不納付加算税は2万5,000円(5%)です。
調査や督促を受けてから納付すると5万円(10%)となります。
法定納期限から1か月以内に自主納付し、かつ過去に同様の違反がないなど一定要件を満たす場合は、不納付加算税が免除される特例もあります。
(参考:国税通則法第六十七条)
延滞税
延滞税は、未納期間中に発生する税金です。
法定納期限の翌日から完納日まで、日割りで計算されます。
令和3年1月1日以降の期間で、納期限までの期間および納期限の翌日から2ヶ月以内に発生した延滞税の割合は、年間7.3%と延滞税特例基準割合 + 1%のどちらか低い方が適用されます。
延滞税特例基準割合とは、前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合です。各年、銀行の新規短期貸出約定平均金利を元に算出されています。
納期限の翌日から2ヶ月以上経過した場合は、年間14.6%と延滞税特例基準割合 + 7.3%のどちらか低い方が適用されます。
各期間ごとの延滞税特例基準割合は以下の通りです。
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期間 |
延滞税特例基準割合 |
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納期限までの期間 および 納期限の翌日から2ヶ月以内 |
納期限の翌日から2ヶ月以上経過 |
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令和3年1月1日~令和3年12月31日 |
2.5% |
8.8% |
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令和4年1月1日~令和4年12月31日 |
2.4% |
8.7% |
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令和5年1月1日~令和5年12月31日 |
2.4% |
8.7% |
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令和6年1月1日~令和6年12月31日 |
2.4% |
8.7% |
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令和7年1月1日~令和7年12月31日 |
2.4% |
8.7% |
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令和8年1月1日~令和8年12月31日 |
2.8% |
9.1% |
(参考:延滞税の割合|国税庁)
延滞税は以下の計算式で求められます
延滞税 = 未納税額 × 延滞税率 × 経過日数 ÷ 365
例として令和8年度分の未納が発覚し、未納税額100万円を納期限から40日後(2か月以内)に納付した場合
100万円 ×2.8% × 40日 ÷ 365 ≒ 約3068円 となります。
所得税の期限を過ぎた場合
個人事業主やフリーランスが所得税を期限内に納めなかった場合も延滞金が発生します。ここでは代表的な3つを解説します。
延滞税
確定申告後の所得税を期限までに納付しなかった場合にも延滞税が発生します。
計算方法は源泉所得税と計算と同様です。
少額であっても日数が積み重なると負担は増加します。
資金繰りの問題だとしても税務署への事前相談や分納申請を行う方が、結果的に税負担を抑えられるケースもあります。
無申告加算税
申告そのものを期限内に行っていなかった場合は、延滞税に加えて無申告加算税も課されます。
なお、法定申告期限から1か月以内に自主申告し、期限内申告の意思が認められる場合は、無申告加算税が免除される特例があります。
関連する記事:無申告加算税がかからない場合とは?適用要件や税率の計算方法について
重加算税
意図的に所得を隠したり、帳簿を偽造するなどの悪質なケースでは重加算税が課されます。
隠蔽・仮装による過少申告・無申告の場合の税率は35〜40%です
もし過去5年以内に同様の違反がある場合は、さらに10%が加算されます。
所得税の納付期限が過ぎた場合の対処法
所得税の納付期限が過ぎた場合でも早めに行動しましょう。
まず「申告済みか・未申告か」を確認する
状況によって対応が異なります。
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状況 |
対応 |
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申告はしたが納付だけ忘れた |
すぐに税額を納付する |
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申告そのものを忘れた |
期限後申告(+納付)を行う |
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申告内容に誤りがあった |
修正申告または更正の請求を行う |
未申告の場合は申告書を作成・提出する
未申告の場合は速やかに期限後申告を行います。
税理士に依頼するほか、国税庁の電子申告システムである e-Tax を利用してオンライン提出することも可能です。
また、原則として過去5年分まで遡り、期限後申告ができます。
早めに自主申告するほど無申告加算税が軽くなります。
税務調査のお尋ねが来る前に対処しましょう。
税額を一括または分割で納付する
源泉所得税や所得税などの納付方法はいくつかあり、状況に応じて選択できます。
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納付方法 |
特徴 |
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e-Tax(ダイレクト納付) |
インターネットバンキングで即時納付可能 |
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コンビニ納付(QRコード) |
30万円以下の場合、全国のコンビニで可能 |
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金融機関・税務署の窓口 |
現金での直接納付が可能 |
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クレジットカード納付 |
1,000万円未満まで可能。ただし手数料あり |
一度に全額を納付できない場合は、税務署に相談することで分割納付が認められるケースもあります。
納付が難しい状況をそのまま放置しないことです。
早い段階で税務署に連絡し事情を説明すれば、納付計画について相談に応じてもらえる場合があります。
税理士や税務署に相談する
申告内容が複雑だったり、多額の未納が発生している場合は、税理士など専門家への相談をお勧めします。
自主的な対応を専門家がサポートすることで、ペナルティを軽減できる可能性があります。
また、国税局の電話相談センターでも無料で相談を受け付けています。
所得税の未納が発覚しお困りの方は早めに相談しましょう。
まとめ
所得税の納付期限を過ぎてしまった場合、早急に対応することが重要です。
税務署の調査通知が来る前に自主的に申告・納付を行えば、ペナルティを抑えることができます。
不安な方は、早めに税理士や国税局の相談窓口に連絡してみましょう。
当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。
ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。



