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消費税還付の税務調査が多い理由は?見られるポイントや注意点を解説

消費税還付を申請すると、「税務調査が来るのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。実際、消費税還付は不正防止の観点から税務署が重点的にチェックしています。特に取引先が多い場合や輸出取引を伴うケースでは特に注意が必要です。

本記事では、なぜ消費税還付が税務調査の対象になりやすいのか、税務署がチェックするポイントと対策について詳しく解説します。

消費税還付を受けると税務調査が多い理由

消費税制度の信頼性を守るため

国税庁は、不正な消費税還付を防ぐための監視体制を強化しています。

​​令和4年7月から令和5年6月までには約6,932件の実地調査が行われ、追徴税額は577億円に上りました。

架空取引や虚偽の仕入れ計上などの不正が過去に多発したことから、税務署はリスクの高い申告に重点的な調査を実施しています。

(参考:適正・公平な課税・徴収|国税庁

海外取引やインバウンドの増加

輸出や訪日観光客の増加により、海外取引やインバウンド関連の消費税還付が拡大しています。

これに伴い、輸出免税制度や免税店制度を悪用した不正も増加しているのが現状です。

国税庁は、不正還付を防ぐために取引実態の確認を徹底し、国際的な取引に関わる法人への調査を強化しています。

消費税還付の申告件数の増加

消費税還付の申告件数は年々増加してているのも、税務調査が多い背景の一つです。

令和4年度には消費税の還付申告額が7兆円を超えました。

平成30年度に比べると約1.6倍に増加し、これに伴い調査件数も増加しています。

大量の還付申告の中から、税務署は不自然な申告や証憑の薄い申告を抽出して精査します。

(参考:適正・公平な課税・徴収|国税庁

 

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消費税還付で税務調査の対象になりやすい事例

複数の取引会社が介在するケース

複数の取引会社を経由する場合、取引内容が複雑になりやすく、税務調査の対象となるリスクが高まります。

例えば、仕入れ先・販売先が多数に及ぶ業種では、仕入額が不自然に多いと「架空取引ではないか」と疑われることがあります。

実際には正当な仕入れであっても、請求書や領収書の整合性、支払い経路、取引時期の一致などが不明確だと調査対象になることもあります。

特に中小企業や個人事業主では、数十万円規模の還付でも調査される例があり、証憑類を正確に整理・保存しておくことが重要です。

還付額の大小に関わらず、書類の不備は税務調査のリスクを高めるので注意してください。

 

関連する記事:個人事業主でも税務調査がくる?時期や確率、対策まで徹底解説

輸出取引や免税販売を行うケース

輸出取引や免税販売を行う事業は、消費税還付を受けられる一方で、税務調査のリスクが非常に高い分野です。

例えば、電子部品などの輸出を手掛ける事業者で海外企業との取引が多い場合、税務署は取引先の実在性や輸出証明書の整備状況を厳しく確認します。

輸出した証拠となる船荷証券や輸入インボイスが不足していると、架空取引や過大還付とみなされる可能性もあります。

また、免税店では購入記録やパスポート情報の記載ミスなど、ちょっとした事務的誤りでも不正扱いされることがあります。

帳簿や証憑の管理を徹底し、第三者から見ても実態が明確にわかるような書類体制を整えておきましょう。

 

消費税還付の税務調査でよく見られるポイント

消費税還付申告書や明細書の確認

消費税還付の税務調査では、まず申告書と明細書の整合性が厳しく確認されます。

還付理由が不明確だったり、記載に漏れや誤りがあると追加資料の提出を求められることがあります。

明細書には以下の項目を詳細に記載する必要があります。

  • 還付の原因となった事情の具体的説明
  • 課税売上と課税仕入れの主要取引先情報
  • 取引先の名称、住所
  • 取引金額と内容

インボイス制度の確認

インボイス制度の導入後は、適格請求書の要件確認が税務調査の重要項目となっています。

消費税還付を申請する際、税務署は以下の項目が正確であるか確認します。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 税率区分
  • 軽減税率の適用表示

さらに、帳簿と原始証憑の整合性が取れていない場合、仕入税額控除が否認されるリスクもあります。

輸出免税証明書類の確認

輸出取引に基づく消費税還付では、輸出免税の適用を裏付ける以下の証明書類がチェックされます。

  • 通常の貨物輸出:輸出許可書
  • 20万円超の郵便物輸出:税関の証明書
  • 20万円以下の郵便物輸出:郵便物等の受領書や発送伝票
  • 契約書、輸出インボイス等の取引実態証明書類

これらの書類は、原則として、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間の保管義務があります。もし紛失や不備があると、免税されない可能性もあるので注意しましょう。

 

関連する記事:海外取引の消費税はかかる?かからない?契約前に確認すべき条件とは

設備投資の実態確認

高額な設備投資による消費税還付の場合、資産の実在性や事業との関連性が重点的に調査されます。

固定資産台帳や契約書、請求書などの証憑類に加え、現場での実物確認や稼働状況の調査が行われます。

特に土地や居住用建物など非課税資産を含む場合は、課税区分の誤りがトラブルの原因となるため、会計処理の正確性が求められます。

消費税還付で調査対象にならないための対策

書類整理と記帳の重要性

消費税還付に関する税務調査に備えるには、日常的な記帳と証憑管理の徹底が欠かせません。

取引内容は日付・金額・相手先を正確に記録し、請求書や領収書は月別・取引先別に整理して保管しましょう。

インボイス制度対応として、適格請求書発行事業者の登録番号を定期的に確認することも重要です。

また、輸出証明書類などの保存義務(7年間)を守ることで、調査時にスムーズな対応ができます。

不正を疑われないための申告書類の書き方

消費税還付の税務調査を防ぐためには、申告書作成段階での丁寧な対応が重要です。

明細書には還付の理由や根拠を明確に記載し、疑義を持たれそうな箇所は補足説明を加えましょう。

主要取引先の情報や取引内容を正確に記載することで、税務署の確認作業もスムーズになります。

曖昧な記載や誤りを避け、整合性の取れた申告書を提出することが、税務調査のリスク軽減につながります。

 

関連する記事:消費税の還付申告に関する明細書の書き方は?記入例から注意点も

税理士の活用で税務調査リスクを軽減

会計処理やインボイス制度の理解不足によるミスが、多額の追徴課税に発展するケースも少なくありません。

消費税還付の申告には、複雑かつ専門的な知識を要するため、専門家のサポートを受けることで、申告内容の精度を高められます。

前もって税理士などの専門家に相談しておくと、税務調査時も適切に対処できるので安心です。

 

まとめ

消費税の不正還付を防ぐため、税務署は毎年厳しいチェックを行っています。消費税還付を受ける際は、適正な申告と正確な証憑管理を徹底することが、税務調査への最も有効な対策です。税務調査のリスクを抑えるため、日常的な記帳・書類整理を怠らず、税理士など専門家のサポートを受けることをおすすめします。

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