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消費税還付金はいつ受け取れる?申告条件から対象ケースまで解説

消費税還付金の受け取り時期について気になる事業者の方も多いでしょう。本記事では、消費税還付金がいつ受け取れるのか、申告条件や対象となるケースについて詳しく解説します。適切な手続きを行うことで、速やかに還付金を受け取ることができますので、ぜひ参考にしてみてください。

消費税還付の概要

消費税還付とは、支払った消費税が受け取った消費税を上回った場合に、その差額が税務署から返還される制度です。消費税還付には、主に以下の2種類があります。

控除不足還付税額:消費税額を控除税額が上回る場合の還付

中間納付還付税額:中間申告で納めた消費税が確定申告で算出した消費税よりも多かった場合の還付

この制度は、事業者が適正に消費税を負担できるよう作られており、過度な税負担を軽減する重要な役割を果たしています。

 

消費税還付を受けられる条件

消費税還付を受けれる事業者は、課税事業者としての次の条件を満たしている事業者です。

原則として課税事業者であることが必須

消費税還付を受けるためには、まず課税事業者である必要があります。免税事業者は消費税の納付義務がないため、還付も受けることができません。

そもそも課税事業者とは、消費税の申告・納税義務のある事業者を指します。

以下のいずれかに該当する事業者が、課税事業者とされます。

①前々年度における基準期間の課税売上高が1,000万円を超える個人事業者

②前々事業年度における基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者※

③課税事業者となることを選択した事業者

④適格請求書発行事業者の登録を受けている

⑤基準期間がない法人のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上の事業者

(参考:No.6613 免税事業者と仕入税額の還付|国税庁)

 

※前々事業年度が1年未満の場合

対象期間は「その事業年度開始日の2年前の前日」から「1年経過するまで」に開始した各事業年度になります。その期間の課税売上高の合計額を出し、次の式に当てはめることで課税売上高を算出することができます。

・課税売上高={(期間の課税売上合計額÷各事業年度の合計月数) × 12}

もし、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合は、次の期間で1,000万円を超えていれば課税事業者となります。

  • 個人事業主の場合:その年の前年1月1日〜6月30日
  • 法人の場合:その事業年度の前事業年度開始の日から6か月間

また、基準期間がない事業者でも、特定新規設立法人であれば課税事業者となります。

原則課税方式で消費税を算出している事業者

消費税を計算するには、原則課税方式簡易課税方式の2つがあります。

原則課税方式とは、消費税の計算方法の一つで、以下の式によって消費税を算出します。

・消費税額 = 課税売上にかかる消費税 – 課税仕入にかかる消費税

この計算で結果がマイナスになる場合、還付対象となります。

また、簡易課税方式では、みなし仕入率により計算されるため、還付が発生することはありません。

消費税還付の対象となりやすいケース

消費税還付が発生するのは、課税売上にかかる消費税額より課税仕入にかかる消費税額が上回った時です。特に、以下のような場合では、消費税還付が発生しやすいので、事前に税理士へ相談して準備しておくと良いでしょう。

大幅な赤字が発生した場合

売上が大きく減少したり、創業当初で仕入れや経費がかさんだりした場合は、消費税還付の対象となる可能性があります。

ただし、注意すべきは消費税の課税対象でない費用は控除計算に含まれないことです。例えば、役員報酬や従業員給与は消費税の課税対象外のため、これらの増加による赤字では還付に結びつきません。

重要なのは、単純な赤字・黒字ではなく、課税売上にかかる消費税と課税仕入にかかる消費税の比較です。

大規模な設備投資を行った場合

高額な機械設備の購入、店舗の内装工事、社用車の購入など、大規模な設備投資を行った年度は還付対象となりやすいケースです。

消費税のルールでは、資産の引き渡し時点で全額に消費税がかかります。例えば、1,000万円の機械を分割払いで購入した場合でも、引き渡し時点で1,000万円分の消費税全額が控除対象となるため、その年度は還付が発生しやすくなります。

輸出業など免税売上の割合が高い場合

輸出業は「免税売上」に該当し、消費税の計算に含まれません。一方で、輸出のための商品仕入れや経費には消費税がかかるため、課税仕入にかかる消費税の方が多くなり、還付が発生します。

 

消費税還付を受け取れる日の目安

消費税の還付が行われるまでの期間は、申告方法や申告時期によって異なります。

消費税還付金の振込時期

還付金の振込までの期間は、おおむね1か月程度が目安とされています。特に電子申告(e-Tax)を利用した場合、書面による申告に比べて処理が早く進む傾向にあります。

ただし、2月から3月の確定申告シーズンには、全国から大量の申告書が一斉に提出されるため、通常期よりも審査に時間を要します。その結果、還付までの期間が長引き、1ヵ月以上程度かかるケースも少なくありません。資金繰りを見据えた経営判断を行うためには、この時期特有の遅延リスクを十分に考慮しておくとよいでしょう。

さらに近年は、消費税の不正還付事例が相次いでいることから、国税庁による審査が厳格化されています。そのため不正がなくても、申告内容に不明確な点があると還付金の支払いが一時的に保留され、受け取りまでの期間が長引く可能性があります。

還付加算金について

還付加算金とは、税金の納めすぎにより還付金が発生した際、その還付金につける利息相当分のことです。還付までに時間がかかった場合、還付加算金を受け取ることができます。これは、還付金が生じた事由に応じた日から還付の支出を決定した日までの日数に応じて計算されます。

 

申告手続きと受取方法

消費税の申告期限は、個人事業主・法人で異なります。

  • 個人事業主:翌年の3月31日まで
  • 法人:事業年度が終わった翌日から2ヵ月以内

また、還付金の受取方法はいくつかありますが、どの方法を選ぶにしても、まずは期限内にきちんと申告していることが前提となります。消費税還付を受け取る場合は計画的に手続きを進めましょう。

消費税還付の受取方法

消費税還付金の受け取り方法には大きく分けて二つあります。

もっとも一般的なのは、申告者本人名義の預貯金口座に振り込んでもらう方法です。確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に口座情報を記載すれば手続きが完了します。ただし、屋号などが含まれた口座は振込ができない場合があるため注意が必要です。

もう一つは、ゆうちょ銀行や郵便局の窓口で現金を受け取る方法です。振込を希望しない場合や口座の都合で指定が難しい場合に利用されます。

さらに、2023年1月からは公金受取口座制度がスタートし、マイナンバーカード等を用いて登録した口座への振込も可能になりました。この場合、あらかじめ口座登録をしておけば確定申告書に口座を記載する必要がなくなり、手続きが一層簡単になります。

まとめ|消費税還付でお困りなら専門家に相談を

消費税還付は、赤字や設備投資、輸出取引など事業内容によって大きな資金効果をもたらす重要な制度です。しかし、申告条件や計算方法は複雑であり、時期によって還付までの期間も変動します。確実に還付を受け取り、資金繰りや投資計画に活かすためには、専門家のサポートが不可欠です。

当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。

 

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