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持分会社とは?会社設立を検討している人のための基礎知識

会社を設立するにあたって、最初に悩むのが「どの会社形態を選ぶか」という点ではないでしょうか。日本では、「株式会社」が最も一般的ですが、実はそれ以外にも合名会社、合資会社、合同会社といった形態が存在します。これらをまとめて「持分会社(もちぶんがいしゃ)」と呼びます。

この記事では、持分会社とはどんな会社なのか、株式会社との違いについてわかりやすく解説します。ぜひあなたに合った会社形態を見つけるための参考にしてみてください。

持分会社とは?

持分会社とは、日本の会社法に基づく法人格を持つ会社形態のうち、以下の3つを指します。

  • 合名会社(ごうめいがいしゃ)
  • 合資会社(ごうしがいしゃ)
  • 合同会社(ごうどうがいしゃ)

これは、株式会社以外の会社形態を総称したものです。会社法第575条により規定されており、出資者(社員)の責任の範囲や経営関与の度合いによって分類されます。

持分会社は、出資者=経営者であることが前提であり、少人数での起業に向いています。

 

持分会社の種類と特徴

持分会社である合名会社、合資会社、合同会社。これらの会社形態は、それぞれ何が違うのか、特徴と会社設立における注意点を説明します。

合名会社:社員全員が無限責任を負う

合名会社は、最もシンプルな形態で、社員全員が無限責任社員です。家族や親しい知人との共同経営に向いています。

※無限責任とは:会社の債務に対して、社員が個人の財産で無制限に責任を負うことを意味します。

主な特徴:

  • 社員全員が無限責任
  • 設立時の資本金に下限なし
  • 登録免許税:6万円(最安)
  • 信用力は社員個人に依存
  • 利益配分や業務執行は柔軟に定款で定められる

注意点:

トラブルや債務発生時には、社員全員が個人で責任を負うリスクがあるため、慎重な運営が求められます。

 

合資会社:無限責任と有限責任が混在

合資会社は、無限責任社員と有限責任社員が共存する会社形態です。会社法第576条第3項により規定されています。信頼できる経営者が主導し、他の出資者から資金を集める場合に適しています。

構成例:

  • 無限責任社員(1名以上)…会社の業務執行、債務への責任あり
  • 有限責任社員(1名以上)…出資のみ、債務責任は出資額まで

主な特徴:

  • 無限責任と有限責任の社員がいる
  • 設立資本金の下限なし
  • 登録免許税:6万円
  • 無限責任社員が中心となって経営を担う
  • 有限責任社員は経営に参加しないことが多い

合同会社:全員が有限責任を負う

合同会社は、2006年の会社法改正で創設された比較的新しい会社形態です。英語では「LLC(Limited Liability Company)」と呼ばれ、米国などで多く用いられています。最大の特徴は、社員全員が有限責任でありながら、定款の自由度が高く、柔軟な運営が可能な点です。

主な特徴:

  • 社員全員が有限責任(出資額まで)
  • 設立コストが低い(約10万円程度)
  • 定款で自由なルール設定が可能
  • 役員の任期がなく、変更登記も不要
  • 決算公告義務がない
  • 設立数が年々増加中

 

合同会社のメリットやデメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

合同会社(LLC)のメリット6選|株式会社との違いも徹底比較

持分とは?

そもそも持分とは何なのでしょうか?ここでは「持分」について解説します。

持分の定義

持分会社における「持分」とは、出資者(社員)が会社に持つ出資比率に基づく権利や地位のことを指します。株式会社でいう「株式」に近い概念です。具体的には以下の権利が含まれます。

 

  • 社員としての地位:経営への参加資格
  • 利益配分権:出資比率に応じた利益の受け取り
  • 業務執行権:会社運営への参加
  • 残余財産分配権:解散時の財産受け取り権

持分の特徴

持分には以下のような特徴があります。

業務執行権

持分会社では、原則として全社員が業務執行権を持ちます(会社法第590条)。つまり、出資しただけではなく、経営にも直接関わることが前提となっています。これは、出資者と経営者が明確に分かれる株式会社との大きな違いです。

持分の譲渡制限

持分の譲渡は、基本的に他の社員全員の同意が必要です(会社法第585条第1項)。これは、社員間の信頼関係を前提とした人的結合を重視しているためです。

ただし、定款で別の定めをすれば、譲渡制限を緩和することも可能です。たとえば、業務を行わない有限責任社員の持分については、業務執行社員の承諾だけで譲渡可能とするケースもあります。

退社制度

持分会社では、社員の意思による退社(脱退)が可能です(会社法第606条)。

退社する際には、原則として出資した持分に相当する払戻しを受けることができます。ただし、定款や契約内容により払い戻しの範囲や方法は異なるため、設立時の取り決めが重要になります。

 

持分会社と株式会社との違い

株式会社と持分会社の違いについて表にします。

 

項目

持分会社(合同・合名・合資)

株式会社

所有と経営の分離

原則なし(出資者=経営者)

明確に分離されている

設立費用

約6万〜10万円

約20万〜25万円

決算公告義務

なし

あり

社員(出資者)の

責任

合同会社は有限責任

合名会社は無限責任

株主は有限責任

定款の自由度

高い

制限あり

(法定機関の設置義務など)

社会的信用

やや劣る傾向あり

高い(金融機関との取引に有利)

 

持分会社は柔軟な運営が可能ですが、信用力や資金調達力では株式会社に劣る場合があります。逆に、起業コストを抑えて始めたい人や、少人数での運営を考えている人にとっては、非常に合理的な選択でしょう。

まとめ|持分会社を設立するには?

持分会社は、設立コストを抑えたい方や柔軟な経営をしたい方、少人数でスタートしたいという起業家にとって、大きなメリットを持つ会社形態です。特に合同会社は、近年スタートアップやフリーランスを中心に人気を集めています。とはいえ、株式会社に比べて信用力や資金調達面では制限があることも事実です。

どの会社形態が最適かは、事業の内容や将来のビジョンによって異なります。もし会社の設立に不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

 

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