川村会計事務所|大阪・堺の税理士事務所

法人化(法人成り)ができない?法人化の条件と対策を徹底解説

法人化は事業を大きく飛躍させる手段の一つですが、すべての人が法人を設立できるわけではありません。法律上の制約や資金不足といった理由で法人化が難しいケースもあります。本記事では、法人化できない人の特徴や、条件次第で法人設立できるケースなどを詳しく解説します。自身の状況に当てはまる内容を確認し、法人化を検討する際の参考にしてください。

 

法人成りできない人の特徴

まず、法人化できない人の特徴について解説します。

法律上の欠格事由に該当する人

会社法331条により以下の条件に該当する人は、取締役になることができないため、法人化できません。

  • 法人そのもの
  • 会社法、金融商品取引法、破産法など会社関連法律違反の罪を犯し、刑の執行終了または執行猶予から2年経過していない者
  • 上記以外の罪で禁固以上の刑に処せられ、刑を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中は除く)

これらの条件に該当する場合、他に取締役を立てなければ一人法人の設立は困難です。

※)2021年3月の法改正により、成年被後見人もしくは成年被保佐人の場合でも承諾または同意があれば可能です。

(参考:会社法 | e-Gov 法令検索

 

法人化に関する知識が不足している人

法人化の手続きや制度について十分に理解していない場合、実質的に法人化できない状況に陥ります。以下については自分で調べる、もしくは専門家に相談しておきましょう。

  • 手続きの流れ
  • 必要書類
  • 定款の作成方法
  • 登記申請の方法
  • 法人設立に必要な費用
  • 税務や会計処理についての知識

 

資本金・設立費用が捻出できない人

法人設立には一定の費用が必要です。一般的に、株式会社では約20万円、合同会社では約6万円が必要と言われています。加えて、事業運営のための資本金として300万円~500万円程度が推奨されています。

項目

株式会社

合同会社

登録免許税

15万円〜

6万円〜

定款の認証

3万円〜

定款の謄本手数料

約2000円

(1ページあたり250円)

収入印紙代

紙の場合:4万円

(電子定款の場合:0円)

紙の場合:4万円

(電子定款の場合:0円)

合計

約20万2000円〜

約6万円〜

 

法人化にメリットがない人

事業規模や収益状況によっては、法人化によるデメリットの方が大きくなる場合があります。以下の条件に当てはまる方は、事務負担や固定費の増加してしまう可能性があるので、十分に検討を重ねることをおすすめします。

  • 年間売上が500万円未満の小規模事業者
  • 赤字経営が続いている事業者
  • 近々廃業予定の事業者
  • 経理・税務処理が苦手な人

 

条件次第で法人を設立できる人

法人化ができないと悩んでいる方の中にも、条件次第で実は法人を設立できる場合があります。

15歳以上の未成年者

一般的に未成年者は法人設立できないと思われがちですが、実際には可能です。会社法に年齢制限の規定がないため、15歳以上であれば印鑑登録が可能となり、法人設立の要件を満たします。ただし、親権者の同意など、以下の条件を満たさなくてはいけません。

<必要な条件>

  • 15歳以上であること
  • 印鑑登録を済ませていること
  • 親権者の同意を得ること
  • 同意書や戸籍謄本などの関連書類を準備すること

 

自己破産経験者

自己破産をしていても法人化は可能です。自己破産は法律上の欠格事由に該当しないためです。ただし、次のような制約があります。

<自己破産中の制約>

  • 財産の自由な処分が制限される
  • 特定の資格・職業に就けない
  • 居住地の変更が制限される
  • 一時的に取締役を退任する必要がある

 

<自己破産後の制約>

  • 融資を受けづらくなる
  • ローンやクレジットカード利用の制限
  • 取引先との信頼関係構築が困難

 

外国籍

外国籍の方でも日本で法人設立が可能です。ただし、経営・管理ビザの取得(一部在留資格を除く)が必要となります。経営・管理ビザの取得条件は以下の通りです。

<必要な条件>

  • 事業所の確保(バーチャルオフィスは不可)
  • 資本金500万円以上または常勤職員2名以上の雇用
  • 経営能力と事業の安定性・継続性の証明

(参考:在留資格「経営・管理」 | 出入国在留管理庁

他にも、印鑑証明がない場合はサイン証明書などを求められたり、必要書類に書かれている日本語を理解する必要もあります。

 

法人化できるか確認する方法

「法人化できるかどうか」を確認する最も確実な方法は、専門家への相談です。

まず、法人化できる条件に当てはまっているか確認しなくてはいけません。その上で安定した売上や黒字経営が見込めるか、法人化による信用向上がどの程度メリットになるか等を検討する必要があります。

また、公的機関でも無料相談を受けられます。これらの窓口を活用してみても良いかもしれません。

<無料で相談できる窓口>

  • 商工会議所:経営全般のアドバイス
  • 中小企業支援センター:創業支援・相談
  • 税務署:税務関連の基本的な質問
  • 法務局:登記手続きに関する相談

法人化には税務や会計、登記の知識も求められるため、早めの相談がおすすめです。

当事務所では、手数料0円で会社設立をサポートいたします。また、法人化した際のシュミレーションを行い、法人化に最適なタイミングをアドバイスいたします。

 

法人を設立できない時の対策方法4選

資金が足りず法人化できない時、以下の方法を検討してみてはいかがでしょうか。

合同会社の検討

株式会社の設立が難しい場合、合同会社の設立を検討してもよいでしょう。合同会社は設立費用が安く、定款認証が不要で手続きが簡単です。また、利益配分の自由度が高く、柔軟な会社経営ができます。ただし、社会的信用度の面では株式会社に劣り、小規模事業やスタートアップに適した形態です。 

資金調達方法の検討

設立資金が不足している場合、公的融資制度の活用が有効です。日本政策金融公庫の「新規開業資金」では、幅広い方の創業支援を行っています。無担保・無保証人融資や、長期で返済が可能であり、スタートアップ企業を重点的に支援しています。

個人事業主として継続する選択

法人化が困難な場合、個人事業主として事業を継続し、将来的な法人化を目指す方法もあります。個人事業主は開業届の提出のみで開業でき、初期費用も抑えられます。

マイクロ法人の設立

小規模で法人化を始める方法として、マイクロ法人の設立があります。最低限の資本金(1円から)で設立可能で、社会保険料の最適化や節税効果が期待できます。また、段階的な事業拡大を目指すことができます。ただし、事務手続き費用やランニングコストが必要になるので注意してください。

 

まとめ|法人化できるかどうか迷ったら専門家に相談を

法人化できない人には様々なケースがありますが、多くの場合は適切な対策により解決可能です。重要なのは自身の状況を正確に把握し、専門家のアドバイスを受けながら最適な方法を選択することです。

法人化は事業成長の重要な選択肢の一つですが、すべての事業者にとって最適とは限りません。様々な選択肢を検討し、自身の事業にとって最良の判断を行いましょう。

 

万が一、会計処理や税務調査に不安な点や不明な点があれば、税理士や会計士などの専門家にご相談ください。当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。



Contact

お問い合わせ

News

 
officeoffice
事務所名 川村会計事務所
代表者名 川村 和弘(税理士)
所在地 〒590-0948 大阪府堺市堺区戎之町
西1-1-6 ITKビル2F
連絡先 0120-994-055
(受付時間9:00~18:00)