川村会計事務所|大阪・堺の税理士事務所

新リース会計基準をわかりやすく解説|変更点や企業への影響は?

リース会計基準とはリース取引の会計処理を規定する会計基準です。2027年4月から「新リース会計基準」の適用が開始されます。これにより、企業のリース契約は大きな見直しを迫られます。本記事では、従来までとの違いや導入の背景などをわかりやすく解説します。導入準備に向けて、ぜひご参考ください。

 

新リース会計基準とは?

まず、新リース会計基準の概要と変更点について解説します。

新リース会計基準の概要

新リース会計基準は、企業会計基準第34号として2024年9月に公表され、リース取引の会計処理を根本的に見直したものです。

“リース取引とは、特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対し、合意された期間(リース期間)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意されたリース料を貸手に支払う取引をいいます。”(引用:リース会計基準の概要 – 公益社団法人リース事業協会)

つまり、リース取引とは企業や個人が必要な機械や設備をリース会社から借りる契約形態のことを指します。

今回の新基準では、国際会計基準(IFRS)との整合性を保つことを目的としており、リース取引のオンバランス処理が導入されます。

そのため、企業は全てのリース契約を財務諸表に計上する必要があり、これまでオフバランスで処理されていたオペレーティング・リースも資産および負債として認識されるようになります。ただし、上場会社や非上場会社(主として大会社)のいずれにも該当しない場合には、新リース会計基準の適用は任意となります。

 

新リース会計基準によりどう変わる?

新リース会計基準の主な変更点は以下の通りです。

全てオンバランス処理になる

以前はファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分されて、特にオペレーティング・リースは貸借対照表に計上されていませんでした。しかし、新基準では、リースの区分が廃止され、リース契約の資産および負債をバランスシートに計上(オンバランス)することになります。

財務報告における開示すべき項目が増える

借手はリース契約に基づく使用権資産を計上し、同時にリース負債を認識する必要が出てきます。これにより、貸借対照表における総資産と総負債が増加します。また、リース料は一括で費用として計上するのではなく、減価償却費と支払利息に分けて計上することになります。そのため、営業損益に影響が出ると予想されています。

リースの定義と識別方法が見直される

リース取引の定義が見直され、「特定された資産の使用からの経済的便益のほとんどすべてを得る権利「特定された資産の使用を指図する権利」を有しているかを求められるようになります。(参考:IFRS 第 16 号「リース」の解説)

これにより、従来はリースと見なされていなかった契約もリースとして認識される可能性があります。

 

改正の背景|なぜ変更するのか?

新リース会計基準の変更背景には、以下の理由があります。

会計の透明性向上させる

従来のオフバランス処理は「隠れ負債」を生む原因となり、企業の財務状況が実態を反映しない可能性がありました。新基準は、全てのリース契約を明示することで、投資家や金融機関に対する情報開示の強化を図ります。

国際基準への適合を促す

 国際財務報告基準であるIFRS16号に基づくルールが世界的に浸透している中で、日本基準も適切に整合性を持たせる必要がありました。これにより、日本企業の国際競争力を高めることも目的としています。

経営の意思決定を支援する

リースの契約情報を財務諸表に反映させることで、企業がリース資金の利用状況やキャッシュフローへの影響をより正確に把握でき、経営の意思決定に資する情報を得ることができます。

 

新リース会計基準はいつから開始されるのか

新リース会計基準は、2027年4月1日以降に開始する事業年度から強制適用されることが定められています。具体的には、2025年4月1日以降から早期適用も認められており、対象企業は上場企業や会計監査を設置する企業が含まれます。また、一定の条件を満たす短期リースや少額リースについては、簡便的な処理が認められています。

この基準の適用に向けて、企業は今後の準備を進める必要があり、特に影響分析やシステム改修、業務設計などが重要です。新基準の導入にあたって、早めの対応を行いましょう。

 

企業がとるべき対応とは?

新基準の導入にあたり、企業は以下のような対応を求められます。

契約内容を洗い出す

すべてのリース契約を見直し、オンバランス対象となる取引の洗い出しを行う必要があります。特に、借手が現行のオペレーティング・リースを多数保有している場合、これらの契約が新基準に基づき負債として計上されることになります。

 

システム対応・業務プロセスを見直す

新たに使用権資産やリース負債を計上・管理する必要があるため、会計システムの改修や、業務フローの見直しが必要です。また、会計・経理部門だけでなく、法務・調達部門とも連携して対応する体制構築が求められます。

 

経営指標への影響の把握する

リース負債の増加により、自己資本比率やROA(総資産利益率)などの経営指標が変動します。金融機関との借入契約などへの影響も考えられるため、シミュレーションを通じて事前対策をしておきましょう。

 

まとめ

新リース会計基準は、企業の財務情報の透明性向上や国際基準との整合性を図るための重要な改正です。リース契約の見直しや会計システムの対応など、企業には早めの準備が求められます。しかし、実際の運用や処理においては、専門的な判断が必要となる場面も少なくありません。

 

万が一、会計処理や税務調査に不安な点や不明な点があれば、税理士や会計士などの専門家にご相談ください。当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。

 

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