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法人化(法人成り)で節税できる?法人税を比較シミュレーション

個人事業主として働いていると、一定以上の収入になったときに「法人化すべきか」と悩む方も多いでしょう。本記事では、法人税の計算方法を解説したうえで、個人事業主と法人の税負担額を所得別に比較します。法人化のメリット・デメリットを理解すれば、あなたにとって最適な方法が見えてくるでしょう。

法人の税金の計算方法について

法人税は「課税所得の計算→法人税率の確認→法人税の計算」の順番で計算します。ここでは、具体的な法人税の計算方法について解説します。

①課税所得の計算

課税所得とは「税金がかけられる所得」のことで、以下の計算式で求められます。
  課税所得=益金-損金
益金とは、商品や製品などの販売による売上や土地・建物の売却による収入などです。
損金は、売上原価や販売費などの経費や損失にあたるものになります。
つまり、課税所得は収入から経費を差し引いたものということです。

②法人税率を確認

法人税率は、法人の種類や資本金、所得の額によって変わります。
例えば、一般的な法人で資本金1億円以下の場合、年間所得800万円以下かつ過去3年間の平均年間所得が15億円未満の法人は法人税率が15%です。また、法人税率は最大で23.2%となっています。詳しい法人税率については、No.5759 法人税の税率|国税庁で確認できます。

③法人税を計算

最後に課税所得に法人税率をかけ税額控除額を引いて、法人税を計算します。法人税は、個人事業主でいうところの所得税にあたります。計算式にすると以下のように表せます。
  法人税=課税所得 × 税率 − 税額控除額
税額控除とは、課税所得に税率をかけ算出した所得税額から一定金額を控除するものです。
以下のようなものがあります。

所得税額の控除

法人が受け取る利子や配当などには、あらかじめ税金が差し引かれて支払われることがあります。この差し引かれた税金(所得税など)は、あとで支払う法人税の金額から差し引くことができます。

外国税額の控除

日本では、国内で得た所得だけではなく国外から得た所得に対しても課税される仕組みとなっています。外国で発生した所得に対しては、国外でも課税されるため二重に課税されてしまいます。
この二重課税を避けるために外国で納めた法人税額のうち一定額を日本で納めるべき法人税額から差し引くことが可能です。

租税特別措置法上の控除

政策のため臨時的に税額控除が設けられることがあります。この国が特別に税負担を軽くする法律を「租税特別措置法」といいます。具体的には研究開発に投資したり、新しく人を雇用した場合など法人税を控除できることがあります。

法人化(法人成り)による法人税のシュミレーション

では、法人化(法人成り)するとどれくらい税負担を軽減できるのかシュミレーションしてみましょう。今回は、個人事業主と普通法人(資本金1億円以下)の所得額ごとの税負担額を比較してみます。

年間所得700万円の場合

【個人事業主】

事業所得 700万円
所得控除 基礎控除 48万円 + 社会保険料控除 約80万円= 128万円
課税所得 700万円 − 128万円 = 572万円
所得税額 572万円 → 税率20%、控除額42.75万円
     → 572万円×20% − 427,500円 ≒ 716,500円
住民税額 572万円 × 10% ≒ 572,000円
合計(所得税+住民税) 約1,288,500円

【法人】

法人の所得 700万円
役員報酬  600万円(法人利益100万円)
役員の所得控除 基礎控除48万円 + 社会保険料控除約90万円= 138万円
役員の課税所得 600万円 − 138万円 = 462万円
法人税法人利益 100万円 → 法人税等約23% ≒ 230,000円
役員の所得税  462万円 → 税率20%、控除額42.75万円
        → 462万円×20% − 427,500円 ≒ 496,500円
役員の住民税    462万円 × 10% ≒ 462,000円
合計(法人税+役員個人の所得税・住民税) 約1,188,500円

年間所得1000万円の場合

【個人事業主】

事業所得 1,000万円
所得控除基礎控除48万円 + 社会保険料控除約120万円(仮定)= 168万円
課税所得 1,000万円 − 168万円 = 832万円
所得税額 832万円 → 税率23%、控除額63.6万円
        → 832万円×23% − 636,000円 ≒ 1,278,000円
住民税額 832万円 × 10% ≒ 832,000円
合計(所得税+住民税) 約2,110,000円

【法人】

法人の所得 1,000万円
役員報酬  800万円(法人利益200万円)
役員の所得控除 基礎控除48万円 + 社会保険料控除約120万円= 168万円
役員の課税所得  800万円 − 168万円 = 632万円
法人税  200万円 × 約23% ≒ 460,000円
所得税額   632万円 → 税率23%、控除額63.6万円
        → 632万円×23% − 636,000円 ≒ 818,000円
住民税  632万円 × 10% ≒ 632,000円
合計(法人+役員個人の所得税・住民税) 約1,910,000円
※この計算は、実務におけるすべての控除や特例を反映したものではなく、ざっくりとした目安としてご活用ください。
※2025年現在の税率に基づいておおよその試算をしています。
所得が大きくなるほど、法人化の節税効果が出てくる傾向があります。ただし、法人化には社会保険の加入義務、設立費用、税理士報酬なども発生するため、トータルでの判断が必要です。
法人税や法人化に関して、詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

まとめ|法人化するか迷ったら専門家に相談を

法人化することで税負担が軽減されるケースはありますが、社会保険料や設立・運営コストも考慮する必要があります。今回のシミュレーションはあくまで一例であり、実際の状況によって損得は異なります。法人化に迷った場合は、税理士など専門家への相談を検討しましょう。
当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。

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