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法人化するとどんな税金が増える?法人税の種類をわかりやすく解説

法人になると、所得に応じてさまざまな税金を納める義務が生じます。なかでも「法人税」は個人事業主の所得税に相当し、企業の利益に対して課される重要な税金です。本記事では、法人が支払うべき主な税金の種類とそれぞれの特徴をわかりやすく解説します。

法人税とは

法人税とは、会社の所得に対して課される税金です。個人事業主が納める「所得税」に相当するもので、企業活動によって得られた利益に課税されます。

法人税の最大の特徴は、比例課税方式を採用している点です。これは所得の金額にかかわらず、一律の税率が適用されることを意味します。現在の法人税率は、資本金1億円以下の中小企業であれば所得800万円以下の部分に15%、800万円超の部分に23.2%の税率が適用されます。(法人税の税率|国税庁)

個人事業主と法人はどっちがお得?

法人と個人事業主では、納める税金の種類や計算方法に大きな違いがあります。

比較項目

個人事業主

法人

主な税金

所得税、住民税、事業税、消費税など

法人税、法人住民税、法人事業税、消費税など

決算期

毎年1月1日〜12月31日(固定)

任意に決定可能

税率

累進課税:所得が多いほど税率が上がる(最高45%)

比例課税方式:所得の金額にかかわらず一律の税率が適用される(最高23.2%)

納税義務

所得がない場合は所得税の納税義務なし

利益が出ていなくても法人住民税の均等割などの納税義務が発生

一般的に、年間所得が900万円を超えると、法人化した方が税制面で有利になる傾向があります。ただし、これは事業内容や経費構成によって変わるため、一概には言えません。詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。

年収1000万円超えたら法人化すべき?メリットとデメリットを解説

法人税の種類は?

法人が納めるべき税金には、以下のような種類があります。地域や業種によって差が出ることもあるため、基本的な税目を押さえておきましょう。

法人税

法人税は、企業の所得に対して課される国税です。事業年度ごとに所得金額を計算し、その金額に税率をかけて税額を算出します。法人税は、会社の最終的な利益に対する課税であるため、事業運営において最も基本的かつ重要な税金です。

法人税の算出方法は以下の計算で行われます。

計算方法:

課税所得 = 益金(収益) – 損金(費用)

課税所得 × 税率 – 税額控除額 = 法人税

法人税の特徴として、資本金1億円以下の中小法人は、所得800万円以下の部分に軽減税率(15%)が適用されることが挙げられます。また、事業年度終了日から2ヶ月以内に申告・納付しなくてはいけません。

 

法人住民税(法人都道府県民税・法人市民税)

法人住民税は、法人が事業所を置く地方自治体に納める地方法人税です。法人都道府県民税と法人市町村民税の総称で、「法人税割」と「均等割」の2つの要素から構成されています。これは「地域社会の費用として、その構成員である法人にも個人と同様に広く負担を求める」という考え方に基づいた税です。(総務省|地方税制度|法人住民税)

 

  • 法人税割:法人税額に一定の税率をかけて計算され、税率は自治体によって異なります。
  • 均等割:法人の資本金等の額と従業員数に応じて定められた金額が課税されます。赤字の場合であっても課税されるため、法人である限り必ず支払わなくてはいけません。

 

法人事業税

法人事業税は、法人の事業活動に対して課される地方法人税です。事業活動を行う地域の行政サービスを受けるために負担する税金という性格を持っています。

所得に対して課税される「所得割」を基本としていますが、資本金の規模に応じて課税方式が異なります。もしも所得が赤字の場合でも、原則として課税されません。しかし、資本金1億円超の法人には、付加価値割や資本割が課される場合があります。

他の税金と異なり、翌事業年度の法人事業税は翌年度の損金(経費)として計上できることが大きな特徴です。

 

消費税

消費税は、商品やサービスの販売・提供時に課税される間接税です。最終的には消費者が負担しますが、納税義務者は事業者になります。

また、消費税は、売上げに係る消費税額(預かった消費税)から仕入れに係る消費税額(支払った消費税)を差し引いて計算します。基本税率は10%で、うち2.2%は地方消費税です。 課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として免税事業者となります。(消費税および地方消費税の税率|国税庁)

また、法人設立1期目と2期目は、原則として免税事業者となりますが、「課税事業者選択届出書」を提出することで課税事業者を選択することも可能です。その他に「簡易課税制度」や「経過措置」など、事業規模や業種によって様々な特例があります。

源泉所得税

源泉所得税は、給与や報酬などを支払う際に、支払者が受給者に代わって所得税を徴収し、国に納める制度です。法人自体に課される税金ではなく、従業員や外部の個人に支払う際に徴収する「預かり金」の性質を持っています。

給与や役員報酬の支払時に所得税を徴収し、原則として翌月10日までに納付しなくてはいけません。従業員が10人未満の小規模事業者の場合、「源泉所得税の納期の特例」を申請することで、半年に一度の納付が可能です。

また、外注を行なっている会社など、 社外の個人に支払う報酬や料金にも源泉徴収が必要なケースもあります。源泉徴収は法人の義務であり、これを怠ると加算税や延滞税などのペナルティが課されるため、正確な徴収と期限内の納付が重要です。

 

住民税(特別徴収)

住民税の特別徴収とは、従業員の住民税を会社が給与から天引きして、従業員に代わって自治体に納付する制度です。源泉所得税と同様に、法人自体の税金ではなく従業員の税金を預かって納付する「預かり金」になります。

毎月の給与から1/12ずつ徴収し、翌月10日までに納付しなくてはいけません。この特別徴収には、個人の納税負担を平準化させる効果があります。

源泉徴収を義務付けられている事業主は特別徴収も法令で義務付けられています。たとえ従業員が希望しても原則として普通徴収への変更はできません。家族経営の場合でも特別徴収の義務がありますが、白色申告者の専従者控除を受けている場合など、例外となるケースもあります。

 

固定資産税

固定資産税は、法人が所有する土地、建物、償却資産(機械設備など)に対して課される地方税です。毎年1月1日時点の固定資産の所有者に課税され、標準税率は1.4%です。(自治体によって異なる場合があります)

土地や建物は市町村から送付される納付書で、償却資産は申告に基づいて納付する義務があります。償却資産に関しては、毎年1月末日までに資産の状況を申告しなくてはいけません。固定資産税は資産を保有しているだけで発生するため、赤字の場合でも納税義務が生じます。

 

自動車税

自動車税は、法人が所有する自動車に対して課される地方税です。自動車の種類や排気量などに応じて税額が決まります。

毎年4月1日時点の自動車の所有者に課税され、自動車の取得時には環境性能割が適用されます。また、環境性能に応じてグリーン化特例などの軽減措置があります。自動車税は自動車を保有している限り毎年課税されるため、自動車を所有することのコストとして認識しておきましょう。

 

まとめ|法人税の計算は複雑…専門家への相談をおすすめします

法人に課される税金は多岐にわたり、それぞれに異なる計算方法や納付期限が定められています。特に法人税の計算は、個人事業主の所得税よりも複雑で専門的な知識が必要です。また、法人の規模や業種、所在地によっても適用される税率や特例が異なるため、適切な税務マネジメントが節税のカギとなります。

複雑な税務処理を適切に行うためには、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。



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