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日本の会社の倒産割合はどのくらい?企業の生存率を高めるポイントについて解説

10年で9割の会社が倒産する。

そんなことがまことしやかに囁かれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

本記事では、日本と海外の企業生存率の実態と廃業してしまう企業の特徴、廃業にならないためにすべきポイントについて解説いたします。

5年後の企業生存率は?国際比較して見えてくる実態

企業生存率と聞くと、5年後で15%、10年後で10%以下という数字をよく見かけると思います。

これは本当なのでしょうか。

中小企業庁の調査によれば、日本の企業生存率は1年後に95.3%、3年後は88.1%、5年後は81.7%と非常に高い数値で推移していることがわかります。
ドイツが5年後で40.2%、アメリカが48.9%、イギリスが42.3%と、他の海外諸国に比べても非常に高いことが伺えます。

これは、あくまで帝国データバンクの企業データを元に作成しているため、帝国データバンクに掲載されていない企業を含めれば、もう少し生存率は下がるかもしれませんが、それでも風説でいわれているような15%という数値とはかけ離れているのがわかります。

一方、開廃業率の国際比較では、日本は開業率は2001年から平均して5%前後で推移しており、諸外国と比べると10%以上差をつけて低いですが、廃業率は4%以下と諸外国の中で最も低いことが見てとれます。

参照:中小企業白書2017

創業100年企業の数は世界で最も多い?

そもそも、日本は長寿だけでなく、世界的に見ても長寿企業国であることをご存知でしょうか。

日経BPコンサルティング・周年事業ラボの調査によれば、100年以上続く長寿企業が最も多いのは日本で33,706社、世界にある創業100年以上の企業数の41.3%を占めています。2位米国の19,497社(24.4%)、3位にスウェーデンの13,997社(17.5%)と続きます。

参照:世界の長寿企業ランキング、創業100年、200年の企業数で日本が1位

廃業してしまう主な原因TOP5

とはいえ、起業は実力社会、リピーターを集められなければ立ち行かなくなり、廃業の道へまっしぐら。

決して甘い世界ではありません。
廃業になってしまうにはどのような原因があるのでしょうか。

中小企業庁白書2020(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/tousan/index.htm)を参考に、原因TOP5をまとめてみました。

販売不振(顧客・販売先の減少)

最も多いのは、顧客や販売先の減少による販売不振です。
顧客・販売先の減少には、マーケットの縮小や景気の悪化、大手企業の新規参入による価格競争といった外的要因だけでなく、新規顧客の開拓不足、サービスや商品の品質の低下と言った内的要因も関連します。

既往のしわ寄せ

既往のしわ寄せとは、具体的な対策を講じることなく、過去に積み上げた資産を食いつぶし、やがて倒産に陥ることを指します。

既往のしわ寄せとは、売上の減少やベテラン従業員の離職、リピーター率の低下など、さまざまな数値からその兆候を読み解くことができます。
経営状態を正確に把握せず、「昨年は大丈夫だったから、今年も大丈夫」となんとなく経営をしていては、やがて問題が深刻化し、倒産に陥ります。

放漫経営

放漫経営とは、不適切な経営やずさんな経理を行い、資金などを私物化すること。
倒産の原因の一つとしてよく挙げられます。

同族経営やワンマン社長が経営する企業によく見られ、雪だるま式に負債が増え、気づかぬうちに倒産してしまいます。

連鎖倒産

業界全体が落ち込み、取引先や提携先が次々と倒産し、会社の業績が急落する現象。
常に、自社が置かれている業界の状況を冷静に見つめ、自社の資金繰りを良い状態にしておく必要があります。

過小資本

倒産の原因として意外な気もしますが、たとえば急成長のベンチャー企業でも、世界情勢の不安定や疫病の世界的流行などにより金融市場が急落し、予定されていたプロジェクトが途中でペンディングすれば、一気に倒産の危機に陥ります。

わずかな読み間違いが命取りとなります。
攻めだけでなく資本で「守り」を固めることも重要です。

企業の生存率を高めるポイント

では、どのようにすれば企業生存率を高めることができるのでしょうか。
それは以下の3つのポイントに集約されます。

コストの削減

売上の拡大も重要ですが、大切なのは利益の確保です。

利益の確保には、売上を増やす、コストを減らすの2つの方法があります。

例えば、無駄に広いオフィスの賃料、あまり使っていないリースしたOA機器、粗利率の低い在庫を保管するためにかかる保管費と倉庫の賃料など、細かいですが見直すところは限りなく存在します。
最低限の売上が見込めなくても生き延びれるために、とにかく無駄なコストは削減していきましょう。

資金化までのリードタイムを短くする

売上が順調でも、資金化までのリードタイムが長ければ、少しの計算の間違いで一気に資金繰りが悪化し、黒字倒産になることも。
支払いサイトを長く保ち、売掛金の回収のタイミングを短くするだけでも、資金繰りの改善ができます。

万が一に備える

企業を経営する経営者も一人の人間。
いつ、大きな病気やケガをして現場を退くことになるか分かりません。

万が一のことに備え、セーフティネット保証制度(倒産防止共済)や事業保障準備資金、経営者保険といった制度を活用しましょう。セーフティネット保証制度(倒産防止共済)とは、特定の条件を満たした中小企業が、一般保障とは別に最大で2億8000万円を利用できる中小企業庁が管轄する保証制度です。

事業保障準備資金は、民間企業が販売する法人向け保険商品で、万が一経営者が死亡したときに、事業継続させるために必要な準備資金(借り入れ返済金や運転資金)の確保ができます。

廃業の手続き

存続できるように頑張ったものの、廃業せざるを得なくなってしまった……。

会社の事業をたたむ時には、廃業の手続きが必要となります。ここでは、廃業の手続きやプロセスについてご紹介します。

事前準備

廃業は、開業と同様に廃業・解散の届け出を提出すればいいわけではなく、諸々の事前準備が必要となります。

営業終了日を決めたら、取引先や従業員へ廃業の旨を書面または口頭で通告します。
次に、株主総会の特別決議で3分の2以上の承認と、定款で清算人を定めていない場合は、清算人の選出を行います。

その後、解散決議から2週間以内に解散登記・清算人選任登記を行います。ここまでが事前準備となります。

廃業・解散の届け出

管轄の税務署、従業員の解雇を行う場合は、労働基準監督署や社会保険事務所へ書類手続き・提出が必要となります。

官報公告を行う

会社を清算する場合、官報公告を行う必要があります。
また、廃業する会社は、2ヶ月以上、官報に解散広告を掲載することが義務となっています。

清算〜解散確定申告・清算確定申告

売掛金の債権回収や買掛金の債務弁済を行い、残った財産を株主に分配して清算します。

これらは全て清算人が行います。

確定申告は、解散確定申告・清算確定申告でそれぞれ2回以上必要となります。
解散確定申告は、解散日の翌日から2ヶ月以内、清算確定申告は残余財産の確定日から1ヶ月以内に行わなければなりません。

清算決算報告書の作成・承認申請〜清算結了登記

株主総会によって、清算の決算報告書が承認されれば、これをもって法人格は正式に消滅します。

最後に、法務局で清算結了登記を行います。

清算結了登記は、株主総会の承認日から2週間以内に完了させなければいけません。
これで廃業の手続きは全て完了となります。

まとめ

企業生存率は海外諸国と比較すると低いですが、それでも5年後には20%の企業が廃業しています。

本日紹介した生存のポイントを参考に、企業経営をしていきましょう。

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